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今夜F球宴の見所は!? 最目玉は「松井―森」バッテリーも、まだあるぞ注目点(※両軍スタメン成績掲載)

田尻耕太郎スポーツライター

博多発、特急「かもめ」に乗って

つい先ほど、特急「かもめ13号」に乗車して博多駅を発った。目的地は長崎。7月17日、今夜6時プレーボール「プロ野球フレッシュオールスター2014」の取材のために、長崎・ビッグNスタジアムに向かっている。

3年前に九州新幹線が開通したことで、以前は4時間ほど要した鹿児島へは最短1時間19分で行けるようになり縦断するにはとても便利になった九州。しかし、横断はなかなか…。新幹線長崎ルートが計画されているが、実現はだいぶ先の話のようだ。

というわけで、この「かもめ13号」は博多―長崎間を1時間54分で結んでいる。でも、たまの列車の旅だし、ま、悪くない。せっかくだからこの時間を利用して、今夜の見所でもまとめてみるとするか。

「フレッシュ球宴」が開催される長崎ビッグNスタジアム
「フレッシュ球宴」が開催される長崎ビッグNスタジアム

注目はやはり「松井―森」の久々コンビ

今年のフレッシュ球宴の目玉はやはり、松井裕樹(楽天)森友哉(西武)のバッテリーである。昨年の高校球界を代表した2人が、昨夏の「18U W杯」以来のコンビを組む。

松井は開幕ローテ入りを果たしたものの「プロの壁」に苦しんだ。だが、中継ぎで再昇格した7月以降は9試合に登板してプロ初勝利を含む1勝0敗、防御率2.08の好成績。さらに13投球回数で19奪三振をマークし、甲子園記録「1試合22K」の片りんを見せつつある。

森はファームでじっくりと育てられている。過去、高校時代に「強打の捕手」との看板でプロ入りしたものの打撃で苦しむ選手は数多く見てきたが、森の場合は看板に偽りなしだ。ファームとはいえ打率.338はイースタン・リーグの5位にランクイン。39打点も同5位と健闘しており、将来が非常に楽しみだ。

過去の「フレッシュ球宴」をおさらい

ところで、フレッシュ球宴といえば代名詞になっているのが「若手の登竜門」。過去にMVPを獲得した選手が大成した例があり、代表格が1992年のイチロー(当時登録名は鈴木一朗=オリックス)であり、2004年の青木宣親(当時ヤクルト)といった現メジャーリーガーたち。他にも1988年藤井康雄(オリックス)、1990年石井浩郎(近鉄)、1993年桧山進次郎(阪神)、2003年今江敏晃(ロッテ)、2009年中田翔(日本ハム)といった後にチームの主軸となった選手たちの名前もずらりと並ぶ。

また、近年でも、昨年イースタンで先発した上沢直之は今季先発ローテ入りを果たしここまで6勝をマーク。そして一昨年のフレッシュ球宴は「当たり年」。イースタン選抜では一岡竜司(当時巨人、現広島)、岡島豪郎(楽天)、西川遥輝(日本ハム)、鈴木大地(ロッテ)が出場。ウエスタン選抜にも菊池涼介(広島)、安達了一(オリックス)の名前もあり、たった2年で各球団の主力へと成長した選手たちが顔をそろえた。

「登竜門」をくぐり抜けていくスター候補は!?

さて、今年だ。松井&森のほかにも、特にイースタン選抜の方には楽しみな選手が多い。「5番DH」でスタメン出場する井上晴哉(ロッテ)。これだけだとピンと来ないが「アジャ」と言われれば、思わず頷く野球ファンも多いのでは。今季、新人ながら開幕4番を任された長距離打者。だが、オープン戦のようには結果を残せず近頃は2軍暮らしだ。それでもファームでは好成績(※下記参照)。プロの質やスピードに対応してくれば、また1軍で見る機会もありそうな選手だ。

さらに4番で出場する山川穂高(西武)は全国的な知名度はまだまだだが、イースタン・リーグで本塁打、打点の2冠王で打率も3位につけている物凄いバッターだ。沖縄出身。富士大学からドラフト2位で入団した新人だ。何より体型も、バッティングフォームも「おかわり」中村剛也にそっくりなのだ。機会があれば、ぜひ注目してもらいたい選手の一人である。

他にも8番ショートでスタメン出場する西浦直亨(ヤクルト)は今季開幕スタメンでプロ初打席初本塁打を放った選手。また、2番センターの関根大気(DeNA)は「ベイガール(←この言葉で合ってる?)」の友人いわく「期待のイケメン」らしい。

一方でやや小粒感のあるウエスタン選抜。それでも5番セカンドでスタメンの北條史也(阪神)は光星学院時代に甲子園3季連続準優勝の主軸として活躍。出身校が同じ「坂本勇人(巨人)2世」として期待の高い内野手だ。ピッチャーではソフトバンクの森唯斗が1軍実績ではピカ一。25試合に登板して1勝0敗、防御率1.83の好成績だ。やはり普段から取材をしているソフトバンク勢(ほかに笠原大芽伊藤大智郎拓也釜元豪)には頑張ってもらいたいものだ。特に育成から這い上がった今季5年目捕手の拓也は、なかなかのガッツとプロ根性の持ち主。この舞台をきっかけに全国に名前を売りだしてほしい。

また、もう1人気になる選手が岩貞祐太(阪神)。横浜商大から入団した虎のドラ1も、キャンプで左肘を痛めた影響でなかなか実戦マウンドに上がれずにいた。7月にようやくファーム初登板。まだ2試合(0勝1敗)ながら8イニング1失点の好投を見せ、8月には1軍先発デビューの可能性もあるという。彼の出身高校は熊本の必由館。オリックス馬原孝浩やソフトバンク山中浩史と同じなのだが、必由館高校は筆者が通っていた中学校の真隣にあったため、馬原や山中とはそれをきっかけに親しくなった。今日、球場で岩貞に話しかけてみるのが、超(!)個人的な目標だったりするのだ…。

さて、「かもめ13号」はまもなく長崎に到着する。着いたらまずは、やっぱり長崎ちゃんぽんを食べに行こうかな。いやトルコライスもいいな。球場に行くにはちょっと早いから長崎の街を「さるく」(街をぶらぶらするという意の長崎弁)のもいいかもね。

●両軍スタメン 今季成績(★マークはファーム成績)

【全イースタン】

4永江恭平(L)  40試合 .211 0本 3打点(★27試合 .159 0本 2打点)

8関根大気(DB) ★71試合 .264 4本 24打点

2森友哉(L)   ★64試合 .338 5本 39打点

3山川穂高(L)  5試合 .000 0本 0打点

D井上晴哉(M) 19試合 .204 1本 6打点(★30試合 .340 4本 16打点)

5辻東倫(G)   ★67試合 .256 2本 21打点

7北川倫太郎(E) ★58試合 .222 1本 17打点

6西浦直亨(S)  14試合 .156 1本 5打点(★35試合 .271 0本 10打点)

9岸里亮佑(F)  ★72試合 .246 2本 13打点

P松井裕樹(E)  15試合 1勝4敗 4.46(★6試合 1勝0敗 0.89)

【全ウエスタン】

9武田健吾(BS)2試合 .250 0本 0打点(★58試合 .281 3本 18打点)

6鈴木誠也(C)5試合 .222 0本 2打点(★45試合 .287 4本 17打点)

D古本武尊(D)★43試合 .253 3本 22打点

5美間優槻(C)★56試合 .238 4本 17打点

4北條史也(T)★72試合 .249 2本 15打点

3奥浪鏡(BS)★50試合 .191 4本 12打点

7横田慎太郎(T)★51試合 .198 0本 6打点

2拓也(H)1試合 .000 0本 0打点(★30試合 .239 2本 10打点)

8釜元豪(H)★45試合 .306 2本 9打点

P若松駿太(D)2試合 0勝0敗 5.40(★12試合2勝5敗1S 4.93)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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