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東浜157球完投!松中2号&猛打賞で、鷹がウエスタン首位に

田尻耕太郎スポーツライター

ソフトバンク2軍が逆転首位

ウエスタン首位攻防戦の「ソフトバンク×広島」(雁の巣)は、ソフトバンクが7対2で快勝。ゲーム差なしの勝率で逆転首位となった。

広島     110000000 2

ソフトバンク 42100000× 7

【戦評】

ソフトバンクが打ち合いを制して首位に浮上した。初回、広島が栗原の内野安打で先制したが、その裏にソフトバンクが猛攻。無死一、二塁から牧原が同点打。その後、山下の2点タイムリーなどで試合をひっくり返した。2回には庄司のソロで1点を返されるが、直後に松中が2号2ラン。3回にも松中がタイムリー二塁打を放った。投げては東浜が10奪三振完投で4勝目をマークした。

2番に座る松中がバックスクリーン弾

【雑感】

目の覚めるような会心の一発だった。2回、松中が第2打席で2号2ランを放った。打球はセンターバックスクリーンへ一直線。ストレートを力強く弾き返した。この日は3打数3安打3打点の活躍だった。

ここ数試合は2番打者で出場。この日も「2番DH」だったが、「途中で交代するので、若手に早めに出場機会を」という配慮らしい。今季は1軍でシーズンスタートも12打数1安打と苦しみ、5月19日にファーム降格となった。だが、ウエスタンでは10試合に出場して22打数10安打、打率.455。2本塁打、8打点もさることながら、出塁率.556と長打率.864でOPSは驚異の1.420をマークしている。

2004年に三冠王に輝いた不惑のベテランが、土にまみれながら翼を鍛えている。

フォーム改善の東浜、今後が楽しみ

また、最も大きな収穫は東浜巨投手の投球だ。完投勝利。被安打9には「打たれ過ぎ」と不満顔も、157球を投げ切ってもなお余裕すら感じる表情を浮かべるほど、無駄のないフォームで投げていたのが良かった。ワインドアップ投球の際、これまでは三塁方向に体が向いてから左足を上げていた。すると体が内側に入り過ぎて、結果的に開く原因となっていた。以前のビデオを確認したところ、左足を上げながら体を回しているのが分かった。この日は体が開くことなく、下半身のタメもあり、打者に近いポイントでボールを離すことも出来ていた。山内孝徳ファーム投手チーフコーチも「上半身に頼るのではなく、体全体を使って投げていた。今年一番のピッチング」と絶賛。東浜とグータッチで喜びをともにした。

昨年、黄金ルーキーと期待されて入団もわずか3勝と期待を裏切った。高校時代にはセンバツで優勝投手となり、大学ではレベルの高い東都大学リーグで完封や奪三振など数々の記録を打ち立てた右腕。その確かな能力がプロの世界で発揮するための、大きなきっかけになりそうなこの日の投球だった。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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