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160球完投→連投 その超感覚を、プロの投手に訊いてみた

田尻耕太郎スポーツライター

160球で完封勝利

160球投げた翌日もまた投げることは、他のプロ野球選手でも出来ることなのか――。

「他の」とは、むろん昨年の日本シリーズ以外、のことを指している。第6戦で160球完投した田中将大投手、翌日もリリーフ登板し日本一の胴上げ投手となった。先日、そのシーンを改めてテレビで見て、ふと疑問が沸いたのである。

もう一つある。実際に160球完投した投手が最近も現れたからだ。5月3日のウエスタン・リーグ公式戦「阪神×ソフトバンク」(甲子園)で、ソフトバンク育成左腕の飯田優也投手が160球を投げて、しかも完封勝利を収めたのだ。

熱投の翌日は?

そこで率直に訊いてみた。飯田は少し考えて、こう答えた。

「あの翌日のことを考えたら、投げようと思えば投げられると思います。試合で160球を投げたのは初めてでしたけど、翌日に肩がめちゃくちゃ重たいということはありませんでした。体はパンパンでしたけど(苦笑)。一番キツかったのも翌日より2日目でしたね。ただ、仮に連投したならば、その次は間隔を空けないと難しいでしょうね」

ところで、現在この左腕は絶好調なのだ。ここまで2軍で6試合に登板して4勝0敗。防御率1.21はウエスタン1位。21.2イニング無失点を継続中である。

背番号「131」のプロ2年目。昨年も高評価を得た時期があり、支配下登録寸前までいった。しかし、登録期限ぎりぎりの7月25日の2軍戦、球団フロント陣が視察に訪れたマウンドで4回7安打3失点と結果を残せず支配下入りを見送られた悔しい経験をしている。

「今回、160球を投げることが出来たのは貴重な経験になりました」

山内孝徳ファーム投手チーフコーチもギュッと抱きしめて讃えたほどの好投劇を見せた左腕。強力投手陣を誇るホークスで支配下入り、そして先発ローテに割って入るのは簡単ではないが、チャンスは十分にあるはずだし、個人的にはぜひ1軍で見てみたい投手だ。

また、明日10日のウエスタン・リーグ、中日戦(雁の巣)で先発する見込みだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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