Yahoo!ニュース

これで教会改革はできるのか!?世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の会見で教団の「圧」の本質がみえた!

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による、教会改革の方向性に関する会見が行われました。元信者の目から見て、非常に残念な結果にうつりました。

冒頭こそ、教会改革推進本部の本部長・勅使河原秀行氏は「安倍元首相の銃撃事件以降、様々な報道を通じて世間を大変お騒がせしました」と謝罪の言葉から入りましたが、その後は一転、教団の主張ばかりを繰り返すだけで、被害にしっかりと向き合おうとする姿勢はほとんどなく、過去の霊感商法による被害者への真摯な謝罪もありませんでした。

しかも、わざわざ教団の会見の場に、足を運んだ質問者の発言の途中で「もう切ってください」という語気の強い言葉で遮ろうとするなど、相手をリスペクトしていない物言いもみられました。

このやりとりを見た多くの人たちが、憤りや恐怖心を抱いたと思います。まさにこの姿勢にこそ、教団の持つ本音、本質と多くの信者らを献金に走らせた理由を見た思いがします。

教会改革の方向性の中身をみる

勇ましいマスコミ批判や教団改革の掛け声ばかりで、中身のない話に正直、がっかりでしたが、本当にこの内容で教会改革ができるのかを見てみます。

2009年に既に発表した、3つのコンプライアンス宣言の指導内容を再度、徹底させるとのことです。すでに、徹底されていれば「再度」は必要ありません。なぜ、それができなかったのか。今回の会見を聞いていて、その理由がよくわかりました。

「(1)民事裁判で問題にされたような献金と先祖の因縁を殊更に結びつける、または威迫・困惑を伴う献金の奨励や勧誘したりする行為をしてはならない」としています。

しかし「民事裁判で問題にされた」ものが、具体的にどの裁判事例を指しているのかが、わかりませんし「献金と先祖の因縁を殊更(ことさら)に結びつける」とした点も、何をもって「殊更に結びつける」のかもわかりません。

そもそもが、神様や先祖の霊を信じる教義です。

霊界からの協助(霊界からの働きかけの意味)を話して献金させる際、どんな言葉が「威迫・困惑」に当たるのか、過去の被害事例から明示されるべきと考えます。

このような漠然とした指導では、現場で活動する信者らも何に気をつけて、献金の要請をしていいのかわからず、これまで通りの活動をし続けてしまっていた理由がよくわかります。

「(2)信者への献金の奨励や勧誘行為はあくまでも信者本人の信仰に基づく自主性及び自由意思を尊重し、信者の経済状態に比して過度な献金とならないよう、十分配慮しなければならない」としています。

追加指導基準として「過度な」とは「献金により、通常の社会生活を困難にするような程度、あるいは、献金の為に借金をする等のこと」としていますが、「程度」や「等」がついていて、曖昧で、どうとでも捉えられるような言葉になっています。これで「過度な」の説明ができていると思っていたとしたら、とんでもない話です。どうした基準が過度になるのか、具体的な明示が必要です。

また教団の言うところの「通常の社会生活」とは、どのようなものでしょうか。

元信者時代の通常の生活

筆者も献身信者(出家信者)として、お小遣いが月に1万5千円ほどで、日々、伝道やお金を集める経済活動をしました。献金ノルマが果たせないと、上からの指示で、朝昼晩とご飯におかか(鰹節を削ったもの)だけをかけて食べる日が続いたこともあります。幹部である勅使河原氏がこうした信仰生活をしたことがあるのかどうかはわかりませんが、これが信者としての「通常の生活」として捉えていた時期もあります。

また、勤労青年として、仕事をしながら教団に通ったこともありますが、当時、教団の関連会社の物品(絵画、着物)を購入してローンを組み、手元に自分のためのお金を残さない生活をしてきました、これこそが、信者にとっての「通常の社会生活」でした。

その頃、個人的に貯金をしてはならず、すべての財物を捧げるように言われました。果たして今後、末端信者には、多額の個人貯金は許されるのでしょうか?生きていく上には、病気もあれば、事故もあります。いざという時にそれなりの多くの蓄えがなければ、何かあった時には、生活は一気に苦しくなります。

筆者としては、貯金がほとんどない状況で献金を要請されれば、それは「過度な」ものと考えます。

すでに借金をして献金をした人もいるでしょう。彼らは返済に追われて、収入の10分の1を献金するどころか、500円や1000円ですら「過度な」献金になるのではないでしょうか。信者によっても「過度な」は、違います。どこからが「過度な」になるのか、もっと各個人に合わせた基準の明示が必要です。こうした部分が抜け落ちています。

「為に生きる」の教えは、諸刃の剣

また「信者本人の信仰に基づく自主性及び自由意思を尊重し」ともあります。

勅使河原氏も話すように「献金は感謝の表れ」であり、教団においては「為に生きる」精神が根本にあります。

実は、この「為に生きる」の教えは、とても良い響きのように思えて、かなりの厄介な諸刃の剣の教えなのです。

「為に生きる」は、自己犠牲の精神の教えです。だからこそ、信者らは、自分が飢えても、神のため、教団のために献金をしようとするのです。

どうとでも捉えられてしまう「為に生きる」という教えが、所属する部署の中で、都合の良いように解釈されていたように感じています。上からの献金の話が出てきた時に、無理な献金を行ってしまい、末端の信者たちの生活が圧迫されてしまう理由にもなっています。

上の人からの「圧」が、末端の信者らの献金を助長させている

先にも述べたように、今回の会見では、質問者の発言を打ち切らせるような強い口調が(司会者に向けて)発せられて、ネット上の書き込みなどを見ていても、この言葉に反発や恐怖心を抱いた方も見受けられました。しかしこの「圧」の口調こそが、教団の本質だと思っています。

実は、こうしたもの言いをする古参の幹部は教団内にはたくさんいます。私も末端の信者時代、こうした強い言葉をたくさん浴びてきて、必死になって「(神様のために)献金をしなければならない」とプレッシャーをかけられました。

「自主的な献金」は名ばかりで、教義を信じる者にとって、わずかな上からの「圧」のかかった言葉でも、強制的な献金行為になるという事実にもっと目を向けなければなりません。

ですので、この言葉が発せられた時に「教団の昔からの体質である『圧』が出てきたよ」と画面に向かって叫びました。

しかも、それが質問者の話を打ち切る方に向けられるとは…。

相手にプレッシャーを与えるような言動が、教団改革を掲げている人たちから、会見の場で出てくるとは思いもよらず、もはや憤りをこえて、あきれ果てました。

これが教団のいうところの社会性なのでしょうか。教団における社会性とは、どのようなものなのか、今後、ご教授を願いたいところです。

しっかりと宗教団体であることを伝えることが大事

「(3)の伝道活動において、勧誘当初から「家庭連合」であることを明示すること」としています。

これについても、あまり詳細な説明はありませんでした。

しかしここが入信の起点となり、多額の献金をすることにつながる重要なポイントですので、かなりの時間を割いてほしいと思いました。

正式名称は「世界平和統一家庭連合」です。略称の「家庭連合」ではだめです。ごまかしと捉えられても仕方がありません。

それに、以前に「旧統一教会であった」ことも並列で伝えるべきです。

というのも、今の名称には、以前のような「世界基督教統一神霊協会」のような宗教的言葉が何もないからです。

最初に勧誘する際には、必ず宗教団体への勧誘であることをしっかり伝えなければなりません。このような曖昧な言い方を勧める方針では、信者らに徹底した指導ができるとは思いません。13年たっても、徹底されていない理由はここにもあると考えます。

もはや外部からの力でしか、教会改革はできないのか

今回の安倍元首相が銃撃、殺害された事件では、2009年のコンプライアンス宣言以前の山上容疑者が母親の多額の献金をしたことへの教団への恨みが動機とされています。その過去の霊感商法における被害をすっ飛ばして、今の「改革」だけを叫ぶだけでは、まったく実のない、パフォーマンスの会見としかみえてきません。

いずれにしても、今回の会見を通じて、旧統一教会の実態、教会改革の姿勢が、よくわかった方も多いと思います。

やはり体質は昔と変わっていない姿を露呈する結果になり、残念な思いさえ抱きます。もはや教団としての自浄作用を求めることは、今回の会見の対応を見ても、極めて難しいと思わざるをえません。

今後、国会論戦などを通じて、この問題は大きく取り上げられていくと思いますが、解散命令などのへの流れは止まらないと思います。逆に、こうした外部からの力が、教団の目指す教会改革への大きな力となるのかもしれません。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

多田文明の最近の記事