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あれ?出品者と出荷先が違うけど、まあいいや そう思っていませんか?フリマアプリ悪用で詐欺の危険が迫る

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:yamasan/イメージマート)

フリマアプリやマーケットプレイスなどを利用した時に、商品を買ったはずの出品者とは違う、別な事業者から商品が届いたことはないでしょうか?

「あれ、おかしいな?」と思いながらも、「商品が届いたから、まあ、いいや」とお金を払って、そのままにしていないでしょうか?

実は、これがかなり詐欺の危険につながっているという話です。

不正検知サービス「O-PLUX(オープラックス)」を導入している通販事業者に最新の不正傾向や対策ノウハウなどを伝えている「かっこ株式会社」によると、「ここ一年、フリマアプリを悪用したクレジットカード不正利用のケースが増えています」といいます。

手口は次のようなものです。

フリマアプリの利用者が商品を見つけて注文をします。

後日、希望通りの商品が届けられます。しかし出荷先を見ると、出品者ではない、知らない事業者から届けられています。たとえば、大手の通販事業者などからです。しかし商品は届いているので、注文者はお金を払います。

ところが、この裏ではとんでもない詐欺行為が行われているのです。

不正行為のカラクリは?

この不正を行うフリマアプリの出品者は、そもそも商品は持っていません。

注文を受けると、その商品を通販事業者にネット注文して、フリマアプリの利用者に送っているのです。

そして、ネット注文の際には、不正に入手した他人名義のクレジットカード(クレカ不正)で決済しているのです。しかしそれを知らないアプリ利用者は、商品が届いたことで安心して、出品者にお金を払ってしまいます。

つまり、犯罪者らはネット上のやりとりだけで、フリマアプリの購入者からお金を手に入れているのです。

出典 かっこ株式会社
出典 かっこ株式会社

「フリマアプリを悪用した不正では、数千円程度の日用品が狙われやすい傾向があります。支払いは他人のクレジットカード情報で行われるため、被害を受けるのは不正にクレジット決済をされた通販事業者です。不正をする者にとって手間もかからず、足もつきにくい手口なので被害が多発しています」(かっこ株式会社)

おそらくフリマアプリなどの利用者は、この事実を知らずに商品を受け取っているので、特に出荷先やアプリの運営者側に連絡をすることもないでしょう。それにより、この不正行為が数多く繰り返されてしまっているのです。

もしかすると、出荷先が違っている商品を受け取った人のなかには、こう思う人もいるかもしれません。

「商品は届いているので、自分には実害はない。心配することはない」

しかしこれがとても危険な考えといえます。

というのも、フリマアプリなどで注文者が手にしたのは、ネット注文で代金も払わずに、不正に取得された盗品を手にしているわけです。これだけでも危ういのですが、もっと恐ろしいことに、利用者の名前、住所、電話番号が通販事業者へ勝手に伝えられて、商品が届いているわけですから、クレジットカードを不正利用する犯罪グループに、最新の個人情報が知られてしまっていることになります。

ダークウェーブなどで、商品が送られた人たちの個人情報が売買されている可能性もあり、この先、どのような詐欺のアプローチがあるかわからない危険をはらんでいるのです。過去にこうしたことに覚えのある方は十分に気をつけてください。

そしてこれからフリマアプリやマーケットプレイスを利用する時にも、商品の送り先が「出品者と違うな」と思った時には、すみやかに発送先の事業者に連絡する必要があります。そして、フリマアプリなどの運営者側への通報も必要になるでしょう。

今、この手口が増えてきているとすれば、やはり警察の捜査も必要なります。利用者からの声が寄せられることで、商品をだまし取られた通販事業者も不正の実態が把握できて、警察に相談しやしくなるでしょう。利用者からの声が、不正を許さない状況を作り出すことができるのです。

また、犯人側が狙う最近の商品の傾向も知っておく必要があります。

「これまでの他人のクレジットカード番号を悪用した不正購入ではパソコンなどの転売が必要な高額商品が狙われていましたが、フリマアプリのクレカ不正では、“おもちゃ”や“ペット用品”など多くの人がフリマアプリで買いそうな日用品が不正購入されている傾向があります」(かっこ株式会社)

年末年始にかけて、家にいながらフリマアプリやオークションなどを利用する方も多いと思います。その時には、ぜひともこうした悪事を働くいる人物がいることを心に留めておいてください。

そして「商品が届いたから安心」「数千円の商品だから、まあいいや」と思うのではなく、送り先などを確認して、その先に起こりうる二次被害の危険にも目を光らせる必要があります。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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