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金融庁・消費者庁・警察庁から、暗号資産に関する投資トラブルへの注意喚起!詐欺被害多発の手口に要警戒!

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:アフロ)

今月7日、暗号資産の取引や交換と関連づけての投資を持ちかけられて、トラブルに遭うケースが増えているとして、金融庁・消費者庁・警察庁が合同で注意喚起を行いました。

これまでの取材をまじえながら、騙されないためのポイントを深堀りしていきたいと思います。

暗号資産に関するトラブルにご注意ください!

金融庁HPより
金融庁HPより

今回は、二つのポイントをあげて、注意を促しています。

一つ目は、「暗号資産交換業者は、金融庁・財務局への登録が必要です。 利用する際は登録を受けた事業者か金融庁・財務局のホームページで確認してください」です。

二つ目は、「マッチングアプリ等で知り合った人から投資の勧誘を受けても安易に投資しないようにしましょう」です。

コロナ禍で人と会えない状況下ゆえに、マッチングアプリを利用する人が多く、そこで出会った外国人の異性から、海外の投資サイトに誘導されて、ビットコインなどの暗号資産を騙し取られる被害は甚大です。

これまで取材をしてきたケースでも、被害はかなりの高額になっています。

1700万円、1000万円と、今も次々に起きている詐欺、国際ロマンスからの偽サイト被害が止まらない! 

この事例では、シンガポール人男性に誘われて、海外の投資サイトに送金し、30代女性は約1700万円を騙し取られています。

6000万円の被害も!偽投資サイト詐欺に潜むボーナス手法。マッチングアプリに詐欺師、大量出現中!

40代女性は ポルトガル人男性に誘われた海外投資サイトで約6000万円の被害に遭っています。

あっという間に、ビットコインで3500万円を超える被害に。もう止まらない!投資系国際ロマンス詐欺。

40代女性は、シンガポール人男性に結婚を意識させられて、約3500万円の被害に遭いましたが、この時は、新型コロナの蔓延という時事問題を使われて騙されています。

いずれのケースも、国内の暗号資産(仮想通貨)取引所に口座を開設させられて、そこからビットコインで送金させる形です。

会ったこともない相手から「国内の暗号資産(仮想通貨)取引所の口座を開設しよう!」と言われたら、詐欺を疑ってください。

そして被害者のほとんどが、最初の2回ほどは、投資すると必ず儲かり、そのお金を、本人の口座に戻す手順を繰り返されています。その後に、多額の暗号資産を送金しています。

お金は必ず戻ると、安心させたところで、騙す!

この損して得とる手口も、被害に遭わないために、ぜひとも覚えておいてもらえればと思います。

この3人だけで1億円を軽く超えていますが、この他にも、国内の暗号資産取引所の口座開設に手間どっていると「銀行振り込みでもよい」と言われて、約2000万円を口座に繰り返し振り込んで被害に遭った女性もいます。昨年から今年にかけて、同様な被害はまだまだ眠っていると思われます。

ここまでは女性の被害ですが、男性も多く騙されています。

国民生活センターによると、2019年度の相談件数は5件だったものが、20年度は一気に、12月31日時点で40件まで跳ね上がっており、その多くは30歳~40歳代の男性です。

仮想通貨で「170万円騙し取られた」男性の告白~マッチングアプリの女性に乗せられて挑戦 (東洋経済オンライン)

30歳代男性は、マッチングアプリで出会ったシンガポール人女性に誘われた先の海外サイトに約170万円を投資して被害に遭いました。この方は投資経験者にもかかわらず、騙されています。「ビットコインとドルのFX取引だった」と男性は述懐しており、詐欺が巧妙に仕組まれていました。

また、40歳代男性は、台湾人女性からの紹介で、暗号資産の投資サイトに誘導されて、約160万円の被害に遭っています。

男性の場合は、途中で詐欺と気づくケースが多いように思われます。国民生活センターから発表された、既支払金額の平均は192万5776円という数字からも、それがうかがえます。

一方、女性の方は、恋愛感情を抱かされて、相手を信じ切っていることもあると思いますが、借金までも重ねてしまい、被害金額が膨らんでいます。

貯金がないと知った外国人の男性から、手元の値打ちのある商品を売るようにいってきたり、借金させるため国内の消費者金融のURLを送ってくるケースが目立ちます。

「借金してでも、投資しろ!」の言葉が出たら、詐欺濃厚です。

深入りする前に、いち早く騙しに気づいて被害の拡大を防いでください。

海外の投資サイトといっても様々

昨年、多かったのが、カーレースのカジノサイトを装う形でしたが、その後、外国為替の投資サイトや、暗号資産で取引するサイトまで、様々なものが現れています。なかには、上海に住む20歳代の女性から、独自の暗号資産の上場話を持ち掛けられて、30歳代男性は、約100万円を騙し取られています。その時、サイトからは、上場に向けた具体的な内容をまとめたホワイトペーパーまで、見せられています。

もし「トラブルに遭ったかもしれない」と不安になった時には、暗号資産を含む「金融サービス」に関する相談先として、金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811(※IP電話・PHS からは、03-5251-6811)があります。

不審な電話を受けた時には、消費者ホットラインの188(いやや)、詐欺被害に遭ったと思った時には、警察相談専用電話 ♯9110、または最寄りの警察署まで連絡をお願いします。

海外の投資サイトの被害ばかりではなく、セミナーや SNSなどを通じて「絶対にもうかる」と持ちかけられて投資をしたけれど、返金されない・出金できないというトラブルもあります。

こうした内容については、 暗号資産に関するトラブルにご注意ください! (令和3年4月7日最終更新)にて、典型事例をあげて注意を促しています。

この瞬間も、被害が起こり続けている

この記事を書いているうちに、新たに「記事と同じ状況で投資をしてしまった」という女性からの被害報告が寄せられました。この方は先月から今月にかけて、出会った韓国人男性から紹介された海外投資サイトに、暗号資産にて1000万円以上を送金したといいます。

彼女は詐欺に遭ったとの確証が持てないようでしたので、まずは、金融庁の相談ダイヤルに電話をして、サイト先の運営者が登録業者かを確認するようにと、上記の電話番号を伝えました。

すると、このような返事がきました。

「B社という、口座を開設した国内の暗号資産(仮想通貨)取引所は、金融庁に登録されているようですが、こちらも怪しいのでしょうか?」

この辺り、初めて投資をしている人が勘違いしがちなのですが、国内の暗号資産(仮想通貨)取引所は登録されていますので、大丈夫なのですが、問題なのは、その先にある海外の投資サイトです。相手の業者が海外であっても、日本人に対して投資勧誘をするには、金融商品取引業の登録が必要になります。それゆえ、登録されているか否かの確認が必要となります。

暗号資産や投資に関しての十分な知識がないと、国内の暗号資産(仮想通貨)交換業者が登録されているから、その先にあるサイトも大丈夫だろうと思ってしまう方もいらっしゃいますが、決してそうではありませんので、気をつけてください。

被害者の声が積み重なることの大切さ

これまで、この被害が世間に認知されないこともあり、警察などへ相談しても受け合ってもらえず、苦しく、辛い思いをした方もたくさんいました。

しかし、それでも多くの方が勇気を持って、記事の取材に答えて下さったり、SNSなどを通じて、被害の声をあげ続けたことにより、被害状況がしだいに明るみに出て、今回の金融庁・消費庁・警察庁からの注意喚起につながったと考えています。

被害者が泣き寝入りせず、あきらめない姿勢を持ち続ける。これは必ず、次の詐欺被害を防ぐための大きな力になります。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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