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星かぶせの詐欺・悪徳通販サイトはこうして見抜け!1年も取引した高評価サイトが急に飛ぶので、ご注意を!

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:arcimagegallery/イメージマート)

「ショッピングモールにある通販サイトで、星5つの高評価がたくさんついていたので、安心なところだと思い、注文をして、お金を払いました」

しかしながら、女性のもとには、2か月たった今も商品は届いていません。

すでに店は閉店して連絡がとれない状況で、7千円ほどの被害に遭っています。しかも、購入した商品はモールの補償サービスの対象外とのことで、泣き寝入りせざるをえない状況だそうです。

これは氷山の一角に過ぎず、他にも「商品が届かない!」という書き込みが多数あり、被害は相当数にのぼると思われます。

決して、自分は大丈夫と思わないでください。

というのも、今回の手口は非常に巧妙で、誰もが、だまされる恐れがあるからです。正直なところ、私でさえ、被害報告を受けて調査していなければ、ひっかかるかもしれないと感じたほどです。

巧妙な点は、約1年にもわたって、注文を受けたらすぐに商品を発送するなどの手順を繰り返し、購入者から星4~5個の高い評価を次々にもらっていたことです

コメントには、「迅速な対応ありがとうございます」「大変良かったです」という書き込みが数多くみられます。1年間もトラブルが少ない状況の取引を続けていれば、ショッピングモールの側とて、よもやここが悪徳業者と疑うことはなかったと思います。

今回は、購入者のみならず、ショッピングモール側も、だましていた手口といえます。

閉店後に「商品が届かなかった」といった星1つの低評価が一気に多くなりますが、それを含めても、この通販サイトの高評価は7~8割にも上っています。閉店前にはもっと星5つの割合は高かったでしょうから、誰の目にも、優良業者に映っていたに違いありません。

気が付けるポイントはなかったでしょうか?

まず知っておいてほしいのは、詐欺においては、相手に色眼鏡をかけさせて、だまそうとする手口があり、今回、それが使われていました。それこそが、星の4~5つの高評価です。

たくさんの高評価を表示することで、「みんなが購入している、安心なところだ」との色眼鏡を、私たちにかけさせてきたのです。そして信頼を勝ち得て、多くの注文が入ったところで、急に閉店させて、飛んでしまったのです。

どうしても、人は高評価のところだけを見て、優良業者の判断をしてしまいがちですが、真実は星1つの評価にこそ、ありました。

問題の業者の過去のコメントを遡っていくと、高評価のなかに埋もれていますが、いくつか悪徳業者としての側面がみえています。

ほとんどの方が「電話をしても通じない」と書き込むなかで、通じた方もいるようで、「日本語が片言しかできずに、会話がまともにできない」との記述がありました。また、メールで問い合わせしても、「答えになってない」回答も多いようで、相手は「日本人ではないのかもしれない」とのコメントもみられます。中には、業者からの返信メールをコメント欄にあげている人もいますが、よく見ると日本語の使い方が少々おかしいところも見られます。

これはとても大事なポイントです。

サイト上の会社の住所は国内になっており、責任者名も日本人です。しかし、電話の先にいるのが外国人となると、大きな矛盾です。つまり、国内業者と思わせていながら、実際には海外の業者で、会社の記載が虚偽の可能性があるということです。

もしこうした矛盾がコメントから少しでも垣間みられれば、購入を控えた方が無難です。

私も被害報告を受けて、すぐに電話をしてみましたが、「現在、使われてはおりません」とのガイダンスが流れました。さらにコメントには、閉店する間際に「電話番号を変えた」との記述もみられます。それが事実なら、極めて悪質な業者といわざるをえません。

星のかぶせが行われたら、要注意!

昨年のコメントには、ソフトを購入したところ「送られてきたものが、コピー商品だった」「商品についているシールが、正規品のようなホログラムになっていない」などもあります。つまり、海賊版などの違法な商品を売っていたことがうかがえます。

さらに驚くのは、こうした星1つの低評価をすると、業者から連絡があるようで「お金をあげるから、低評価のレビューを消してほしい」と言われたというのです。

ここから、業者の手練手管な手法が見えてきます。

それこそが、「高評価の星のかぶせ」です。

星1つの低評価がコメントされると、決まって「迅速な対応をありがとうございます」「大変よかった」などという星5つの書き込みが続くのです。

すると、低評価のコメントは高評価のなかに埋もれてしまい、別ページに移動していきます。結果、ページから低評価のコメントがしだいに見えなくなってしまいます。

もし低評価の後に、抽象的な高評価の書き込みの「かぶせ」が多数みえたら、危ない業者かもしれないと思って、注文に対しては慎重になってください。

だまされないためには、星1つの低評価に見え隠れする真実を見抜くことが大事になります。

異変を察知することも必要

被害女性が、注文した時は閉店する少し前でしたが、その頃から高評価のなかに、いくつか「なかなか商品が届かない」「やっと届いた」というきな臭いコメントが見え始めています。悪質な業者ほど、いつ飛ぶかわかりませんので、こうした業者の異変を見逃さないことが大事です。

この業者の巧みさは、様々なところに表れています。

「お店がなくなったので、心配していましたが、商品が届いてよかった」という人がいる一方で、「1個目は届いたけれど、2個目がこない」という微妙なコメントもあります。

これは作戦でしょう。

まったく届かないわけではなく、届いた人もいる。この状況をつくることによって、購入者は「もしかすると、自分のところに、もう少しで届くかもしれない」と思って、しばらく待つようになるからです。その間に、クレジットカードなどの決済がなされて、代金の引き落としがなされてしまいます。そして業者のもとにも、お金が入ることになるでしょう。

なかには、「閉店したので心配していたが、商品が届いてよかった」というコメントもありますが、安心ではありません。この業者からは非常に悪質性を感じるゆえに、注文の際の個人情報が流出している可能性があるからです。

それにしても悪質なのは、店が閉じられて、被害女性は注文して約2か月たっても商品が届かず、コメントにも「届かない」「詐欺に遭った」という記述が多数寄せられているなかで、相変わらず星5つ評価の「迅速な対応ありがとう」との書き込みが入ってきています。

店が閉じられた状況では、注文などはできないのですから、迅速な対応はありえず、どうにも、サクラが書き込んだとしか思えません。

1年ほど前からの取引のなかで、違法なコピー商品を販売し、サイト上で、国内業者の住所の記載をしながら、海外業者である可能性が高い。閉店後にも高評価が書き込まれている。これらを考え合わせると、やはり時期がきたら、金をとって逃げることを考えていた、悪徳通販サイトであることが極めて濃厚です。

大手のショッピングサイトに出ている業者だとしていても、必ずしも安心とはいえません。購入者だけでなく、出店先のモールをも、だます業者がいるということを心にとどめてください。

騙されないために知っておいてほしいことは次の3つです。

星1つの低評価にこそ、真実が隠されていることがある。

高評価のかぶせコメントが多い通販サイトには、要注意!

国内業者の記載なのに、海外業者を疑わせるものはないか。

これらをぜひ、注文前にもう一度、確認して下さい。高評価が多いという面からだけみて、商品の購入をすると、痛いしっぺ返しを食らうことになります。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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