競馬に続き、競艇も。公営競技の不正受給問題が次々に明らかに。なぜ、強く物申すのか。その理由は二つ。

(写真:Paylessimages/イメージマート)

競馬界に続いて、競艇の世界でもボートレーサーらの不正受給の問題が浮上してきました。公営ギャンブルは、新型コロナの影響はないどころか、巣ごもりによりネットから投票する人が多くなり、軒並み売り上げが増えてきています。それにも関わらず、本来、新型コロナの影響で売り上げが減った人が受け取るべき、国からの持続化給付金100万円を不正に受け取っていたという疑惑です。

先ごろ、JRAでも160人を超える不正受給の問題が発覚していますが、競艇の世界でも調査が進められています。

すでに不正受給の問題は、昨年7月に国民生活センターから、8月には経済産業省からも注意喚起がなされています。

そうしたなかで、悪質な不正受給者は、持続化給付金の詐欺を行ったとして警察に逮捕されて、今年に入って次々に有罪判決を受けています。そして、不正受給をした人たちも、罪の意識から、続々に返金しています。

それにもかかわらず、公営競技の業界では、今ごろになっての調査ということですから、世の中の流れからだいぶ遅れており、周回遅れの感がぬぐえません。もし、いまだ不正受給をしておきながら、返金もしていない事実があるとすれば、なおさらのことです。

競艇においては、フライングなどをすると、ペナルティとして出場停止となりますが、その期間を新型コロナの影響として偽っていた可能性があるという話ですから、より不正受給か否かのポイントも明確になってくると、考えています。

なぜ、「不正受給」という言葉を使うのか。

JRAの不正受給問題が発覚した時に、強く物申してきたのには、理由が二つあります。

一つ目は、JRAに限ったことではなく、公営競技全体に広がってはいないのか、という疑念でした。これを機に他の世界でも徹底した調査をしてほしい気持ちがあったからです。残念なことに、それが、現実に見えつつあります。

もう一つの理由を話す前に、この件に関して、ご意見、ご質問がありましたので、同じ考えを持っていらっしゃる方もいるかと思い、要約して、お答えしておきたいと思います。

JRAの問題については、嘘の確定申告書を出して、名義貸しをした不正受給者たちとは違うのだから、「虚偽はなく、法に触れることはないので、『不正』という言葉は適切ではなく、『不正受給』と言い切っている根拠を教えてほしい」というものでした。

また「もし不正であれば、警察がすでに逮捕されているはずではないのか?」といった、貴重なご意見です。ありがとうございます。この場でこの件についての見解を述べられることに感謝しています。

確かに、報道のなかには、JRAの今回の問題を不正とはいわず、「不適切受給」として、報じているところもあります。ですが、私はあえて「不正受給」という言葉を使っています。

これは、経済産業省の注意喚起に基づいてのものです。

持続化給付金の不正受給は犯罪です!! (経済産業省HP)

ここを見てもわかりますように、経済産業省は、不正受給について「売上減少の理由が、新型コロナウイルスの影響でないのに申請する」として、はっきりと「上記の行為は犯罪である」との見解を示して、注意喚起をしています。

ここには「不適切受給」という文字はありませんので、昨年より、この種の事案については、「不正受給」という言葉で、一貫しての見解を話しております。

また、ここには「不正の内容が悪質な場合には、刑事告発」となっており、必ずしも、警察による逮捕や捜査がなかったからといって「不正受給ではない」というわけではないと考えています。

今回の場合、人数も多く、個別に持続化給付金を受け取ったケースは違うと思われます。「極めて悪質」と判断された場合には、詐欺としての逮捕はあるかもしれませんが、もしそれがなかったとしても「不正受給」との事実に変わりはないと考えています。

以上のことから、私は「不正受給」という言葉を使わせて頂いてます。

二つ目の理由は、信頼を巻き返してほしい強い思いから

さて、二つ目の強く物申している理由についてですが、それは、今回のJRAの不正受給問題が発覚して「非常にがっかりした」からです。

業務上の守秘義務があるので、詳細は話せませんが、過去にしばらくの間、JRA内でアルバイト的なお仕事をさせて頂いたことがあります。もしかすると、競馬場で私を見かけた人もいるかもしれません。

実は、働いてみて私のもったJRAへの印象は、コンプライアンスをしっかり守る。お客様第一の姿勢を貫く、しっかりとした職場でした。

これまで様々な仕事を体験してきて、いまだにパワハラ的な言葉でアルバイトらに仕事をさせるような会社もありますが、JRAに限って言えば、それはなく、私のなかでは、過去3本の指に入るくらいに、良い仕事環境であると感じました。

これは私が客として以前に見た光景ですが、「未成年者は馬券の購入できません」もし親が、小さな子供に馬券購入のボタンを押させようとすれば、案内の方がやってきて親に押さない」ように、注意のお願いをします。すると「このくらい、いいじゃないか!」と怒鳴りだしますが、それに対しても丁寧に説明しながらの対応をする。また、馬券がはずれたからかはわかりませんが、いきなり声を荒げる方がいても、平身低頭で応対する。私はとても感心して、ちょっと働いてみたい気持ちになったのです。

実際に、私が見た期間は短くわずかですが、コンプラインアスを守り、不正を許さない姿勢、お客様第一を貫く礼儀作法などをみてきて、ますます、良い印象を持ちました。

私が見てきたのはひとつの例に過ぎず、おそらくこうした関係者のひとつひとつの努力が積み重なって、公営ギャンブルという人からは斜め目線から見られがちなものであっても、たくさんのファンを集めてきたのでしょう。ここには、もっと多くの裏方の競馬関係者が相当な努力をして、ここまでやってきていたのだと考えています。

ところが、今回、不正受給という問題が発覚して、多くの関係者が一から積み上げてきた信頼が一気に崩れてしまうような事態に、憤りというよりは、落胆を感じざるを得なかったのです。

そこで、内部の人にはい言えないこともあるでしょうから、外部の人間だから言える「良い」「悪い」を、はっきりと物申そうと思った次第です。

これまでのJRAの姿勢をみてきて、確かに問題発覚後の調査が今年に入ってからで、かなり遅くなった点はあったとしても、必ずや再び、信頼を回復するための調査と対応を徹底して、巻き返しを図ってくれるものと信じています。

これは今回の競艇界を含んだ、他の公営競技全体にいえると思います。ある意味では、JRAは先頭を切って走ったといます。未だ、不正受給の調査、解明が充分になされない業界があれば、早急に行い、信頼を回復するための歩みが必要です。

社会に向けての信頼回復へは、茨の道かもしれませんが、ここからのスタートがとても大事であると考えています。