コロナ禍で変わる諸手当 テレワーク手当が3社に1社で新設

ちょっとおもしろいプレスリリースを見つけました。月刊総務という雑誌が行っている企業の人事・総務部などを対象としたアンケート調査の結果です。

この一年はコロナ禍で働き方に大きな変化が起きました。特に大きいのはテレワークの実施でしょう。今でもテレワークを推進している会社は多く、そうした会社に聞くと職場はガラガラの日が多いそうです。

一方で、中止や廃止になった社内のイベントや制度もあります。会社がお金を出してくれる忘年会や新年会等のパーティ系イベントがなくなった、というのはよく聞く話です。

テレワークの実施とともに、交通費を実費精算とする会社も増えているようです。6カ月定期代相当を振り込んでも、実際は月に10日も来ないようではムダな支出になってしまいますから、実費精算にしたほうがいいわけです。

さて、元のプレスリリースに話を戻します。そこで取り上げられていたのは「テレワーク手当の実施率」です。割合にして32.8%、ほぼ3社に1社はテレワーク手当を支給する動きがあったそうです。

そしてその支払い方法については「毎月一律の金額を支給している:57.9%」が一番多く、「テレワーク開始時に一律の金額を支給した:31.6%」「テレワーク開始時に必要備品を実費精算した:13.2%」が続いています。

テレワーク手当、どのような形で支給されるのが望ましいでしょうか。

4/19 PRタイムス テレワーク手当の実施率は約3割。福利厚生の課題は「平等性」「制度の利用率」「経営層の理解」など

テレワーク手当は設定がなかなか難しいがもらう必要性は高い

テレワークになったとき、会社から何らかの支給があるべきか、といえば「もらう合理性はある」といえます。

なにせ自宅の電気代を使ってパソコンを起動し、自宅のインターネット回線を使ってネット接続をしているわけです。寒さ暑さが厳しい時期は冷暖房もつけます。

家庭にもよりますが、電気代がアップすることは間違いありません。テレリモ総研の調べでは67.3%が電気代が上がったと回答しています。

一方で季節変動要因を乗せたり、各家庭ごとの電力消費の違いを算出することはなかなか難しいと思われます。

そうなると、一律の手当を支給するのが現実的でしょう。月あたりいくら、あるいはテレワークの日あたりいくら、という設定をするわけです。

一方で、手当とせず、何らかのベースアップ等を図って「全社員月2000円くらいは昇給してあるので、これで織り込み済み」とする会社もあるかもしれません。

テレリモ総研 テレワークは家計に負担!?お金が減った・増えた実態を調べてみた

逆にコロナ禍で中止・廃止の制度は社内懇親会 それはそうだ

最初に紹介したアンケートで、もうひとつおもしろいデータがありました。それはコロナ禍で中止ないし廃止した制度です。大きな変動がみられた項目として「懇親会」があります。

会社が決算時や暑気払い、忘年会や新年会などの区切りのときに社内でパーティを開くことはよくあります。社長がちょっと挨拶をして、みんなで飲食を楽しむ場がときどきあると、社員同士の親睦にもなりますし、特に好決算後などは社員の意気も上がります。

会議室でビールやおつまみを囲んで盛り上がるのは、ちょっと楽しい時間ですが、社内で「密」な場所を作り、長時間にわたってにぎやかな会話を楽しむ場になります。これを中止する傾向があったのは当然のことでしょう。

同様に減少したものにレクリエーションがあります。社員旅行なども含め、社員が集団でどこかでイベントをこなすという流れはしばらく収まっていくことになるでしょう。

私は仕事は仕事、プライベートのつきあいはプライベトのつきあいとして分けたいタイプなので、社内強制イベントの減少傾向は賛成です。そういう若い世代にとっては歓迎される流れといえるかもしれません。

会社の福利厚生や諸手当も時代の変化

社内制度は、時代の変化を映す鏡でもあります。

例えば「家族手当」のような制度は縮小の傾向にあります。子どもに対して手当を出すことはあっても、専業主婦の家族がいることを手当の理由とすることは時代の流れとマッチしていないからです(むしろ、働く女性や独身の男女にとっては不利な制度ともいえる)。

社内預金制度などもかつては人気がありましたが今は絶滅に近い制度です。銀行よりも高い金利を提示し、会社が銀行代わりにお金を預かっていたものですが、これだけ銀行が競争をしている時代に、会社がわざわざ利息をつけて社員のお金の管理をする必要はなくなりました。これは時代の役割を終えたということでしょう。

テレワーク手当はまさに、コロナ禍で生まれた新しい時代の申し子といえます。

しかし、新しいがゆえにまだその対応が明確でないところもあるようです。下記リンクでは、いくつかの論点が出ていますが、自宅勤務日の多い少ないが社会保険料の算定基礎に影響するのは、理屈としてはそうかもしれませんが違和感があります。また、自宅の電気代を全社員が会社に書類提出してテレワーク手当の非課税分を精算しなおすことは(該当分を非課税扱いとする案があるという)、事務負担として非現実的です。

できるだけ事務の負荷のかからず、かつ合理的に処理できるルール作りが必要でしょう。そうしなければ会社も手当を出しにくいですし、テレワークでがんばる会社員も不利益ということになってしまうからです。

テレワークはもはや一時的なものではありません。コロナ禍を乗り越えたあとでも、その普及はとどまることがないと思われます。テレワーク手当も、しっかり普及してほしいものです。

(参考)

ITメディアビジネス テレワーク下での「通勤手当」と「在宅勤務手当」、どうやって支給する?

読売新聞 大手小町 「在宅勤務手当ってあるの?」 相場や支給方法を調べてみました

時事通信 在宅手当、一部を非課税化 通信・電気代対象―政府方針

マイナビニュース リモート手当の支給額、最も多い金額帯は?