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冬ボーナス10%減も?「厳冬」に備え、家庭内緊急事態宣言を発令せよ(GOTO行ってる場合じゃない!)

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
今年のボーナスは「厳冬」になりそう。対策は?(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

年末の冬ボーナスは「超厳冬」か 10%ダウンの見通しも

冬ボーナス支給の時期が近づいています。しかし数字はかなり厳しいものとなりそうです。シンクタンク各社の冬ボーナス予想が出始めていますが、いずれも「超厳冬」の予想となっています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、「前年比マイナス10.7%」を予測し、「リーマンショックを超える減少幅を記録する」とみています。

11/9 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 2020年冬のボーナス見通し~新型コロナウイルス感染症の影響で、リーマンショックを超える減少幅に~

第一生命経済研究所は「前年比マイナス8.0%」と予想するだけではなく「今冬はボーナス支給がされない事業所が増加する可能性が高い」ことを指摘し、ボーナスゼロの実態を踏まえた平均では「前年比-11.5%」という数字も紹介しています。

11/13 第一生命経済研究所 2020 年・冬のボーナス予測~前年比▲8.0%と大幅減少を予想。支給見送り企業も増加の公算大~

みずほ総研も「前年比マイナス7.5%」を予想し、こちらも支給ゼロの企業を考慮すると「前年比マイナス10.0%」の影響があるとしています。特に「宿泊・飲食サービス業や生活関連サービス・娯楽業」などの業績悪化が厳しい業種においては無支給の企業が増えるのではないかとも指摘をしています。

11/16 みずほ総研2020 年冬季ボーナス予測 リーマンショック後以来の大幅マイナスに

いずれもかなり、厳しい予想となっています。

業種による変動幅は大きい 業績悪化ならさらなるダウンもありうる

さて、あなたの会社のボーナス額がそろそろ示される頃合いですが、今年はもう、厳しい数字を覚悟しておいたほうがいいと思います。

企業のボーナスは、今世紀に入ってから「業績連動色」が高まっているため、こういう時期には支給額を一気に減らしてくる傾向があります。

確かに一部、業績が好調の業界もあります。運輸(配送件数増)、小売り(自宅消費増)、IT系企業(テレワーク需要)、ゲーム会社(巣ごもり消費)などが売り上げを伸ばしていると伝えられますが、先行きの不透明さも大きく、大盤振る舞いのボーナスとなるかは微妙なところです。

会社の業績が前年を下回っていることがすでに社内で明らかになっている場合は、「前年並み」で御の字、「前年以下」となることは避けようがない流れです。

そして覚悟しておくもうひとつのリスクは「ボーナスゼロ」です。ボーナスの割合は各社それぞれですが、一般には年収の20%になることも多く、一回分が無支給となれば「年収10%ダウン」というインパクトも出てきます。

厳冬に備えて緊急事態宣言を発令せよ 今すぐできることは

こうした背景を踏まえると、今からでももう「家庭内緊急事態宣言」は発令してもいい状況だといえます。

具体的には支出をとにかく切り詰める対応に出る必要があるということです。正直いって、普通の世帯においては「GoToトラベルで年末どこへ行こうか」とのんびり考えている場合ではないのです。

具体的には以下の3つの対策を始めてみてください。

1.あらゆる「当たり前の支出」を削る!

日常生活におけるあらゆる「当たり前」を見直してみてください。なんとなくお菓子や雑貨を買う習慣は一度ストップしてください。食費や日用品も「割安はないか」ということを改めます。1日約300円のコストカットで月約1万円ほどの支出減になります。

2.固定費は徹底的に削減 解約の手続きを急げ

次に本気で考えたいのは「固定費の削減」です。クレカの明細、銀行預金通帳の引き落とし履歴をチェックし「毎月自動的に引き落とされている項目」をもれなく調べ、不要なものは解約(利用履歴がないサブスクとかジムとか)、割安なものは乗り換え(格安スマホとか)します。面倒な手続きもやればやるほど家計の余裕につながります。うまくいけば月1~2万円のコストダウンになります。

3.住宅ローン等の返済が苦しい場合は相談を急ぐ

ボーナスをあてにしていた大型支出については、基本的には停止したり、返済猶予を求めます。旅行の計画は凍結し、学費についてはメインバンクに低利ローンの相談をしてください。住宅ローンは返済計画の見直しを相談します。間違っても年利15%のカードローンなどで穴埋めしてはいけません。

苦しいときほど、ムダを削る取り組みも本気になれます。本気で削れば、月1~2万円の生活コストを下げることは不可能ではありません。

特に辛いのはボーナスゼロです。もしそうなった場合は、とにかく必死に生活コストのカットをしてみてください。

(追記)あなたは働き盛り、会社は下り坂なら…逃げ出してもいい!

あなたがもし働き盛りの年齢で、健康にも不安がなく、「今が人生の稼ぎ時」だと思っているのなら、下り坂の会社で5年を過ごすことは大きな損失です。ボーナスが1.0月分を5年くらい減らされたとしたら、10月分の給料をもらい損ねたことになり、1年分くらいの年収を取りこぼしたことになります。

だからといって景気が回復したとき「さかのぼってボーナス10月分払うね」なんてことは絶対にありません。それどころか、早期退職を促してくるかもしれません(割増退職金があって、すぐに雇用保険の給付がもらえたとしても、無職期間を作るのはあまり得策とはいえません)。

あなたの勤める会社あるいは業界の、業績回復が今後何年も見込めないと思うのなら、腹をくくって転職活動をしてみるのもアリだと思います。「この会社にはお世話になったから」とか考える必要はありません(将来減らされたボーナスを遡って払ってくれるのなら別ですが、そんなことはない)。

ただし、内定を取ってから会社は辞めること! 求人も減少傾向にある時期ですから、辞めてから次を探そうなんて考えてはいけません。それだけは絶対にしないように。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

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