コロナ相場の今、起きつつある大きな変化 2200億円の買いが入った意味

新型コロナウイルスの影響で株価は急変動しているが個人の投資行動に変化の兆しがある(写真:つのだよしお/アフロ)

株価が30%も下がったというのに、つみたてNISAやiDeCoの口座開設申し込みが増えている?

先日、おもしろいニュースを目にしました。ここ数カ月の株価急落や回復といった不安定な相場状況でありながら、つみたてNISA用の投資信託には約2200億円の新規購入があった、というものです。

5/7 コロナショックで「長期・積立」意識高まる、2-4月のつみたてNISAファンドへの流入額は過去最高に迫る

出典:モーニングスター

ポイントを簡単にまとめると

  • 3月、4月のつみたてNISA対象ファンドへの資金流入は合計で2200億円以上にもなる
  • 2018年1月につみたてNISAがスタートして以来、最高水準に近いペース
  • 長期、積立、分散投資をこのタイミングで実践する個人の多いことがうかがえる

ということです。

あえてこの機に投資をスタートするというのは、勇気といえるのかむしろ蛮勇というべきなのかも考えてみる必要があると思います。

結論を先にいえば、今積立投資をスタートするならぜひやってみては、ということですが、ポイントをまとめてみましょう。

つみたてNISA対象ファンドを2200億円買う、という「重要な意味」

まず整理してみたいのは、つみたてNISA対象ファンドを買うという行動の意味合いです。

つみたてNISA(少額投資非課税制度)は、年間40万円までの投資信託等の購入について、その運用収益が非課税となる税制優遇制度です。非課税投資期間は20年あるので、そのあいだで売却すればいいしくみです。また、原則として定期的な積立を行います。

つみたてNISA対象の投資信託(ファンド)は、金融庁が一定のガイドラインを引いてあまたある投資信託を絞りこんだものです。特に「手数料が安い」という点が画期的で、割高な投資信託をつみたてNISAでは買えないようになっています。なお、つみたてNISAの対象となった投資信託は、つみたてNISA以外でも購入することができます(税制は購入した口座の種別による)。

つまり、3月と4月につみたてNISA対象ファンドが2200億円以上も購入された、ということをまとめると

・定期購入を停止していた人が再開した(増額した)

 もしくは新規口座開設があった

・富裕層が買いに入ったというより、

 多数の個人が少額の購入をした

・株価が下がった時期であるにもかかわらず、

 むしろ長期的には好機とみる投資判断があった

ということになります。実はこれ、普通の人が今までイメージしてきた投資スタイル(全額買い!とか全額売り!のような感じ)とは異なるのではないでしょうか。そのイメージの「変化」は重要な意味を持ちます。

つみたてNISAでの投資信託購入は、短期的売買ではない投資アプローチ

投資と言えば短期的な売買をするイメージがあります。いわゆるデイトレードです。あるいはチャンスとみたら財産の全額を突っ込んでは(あるいは借金をしてでも資金を確保しては)「全額買い!」「全額売り!」のようなトレードをするイメージもあります。

しかし、今起きているこの2200億円の「買い」の動きはこれとまったく異なります。先ほどの3つの特徴をもう少し解説しましょう。

まず、つみたてNISAには非課税投資枠が年間40万円しかないので、その日のうちに何度も売り買いする投資ではありません。売買していたらあっという間に枠が尽きてしまうからです。むしろ長期スタンスでの保有を目的とした行動だと思われます。

NISA口座以外でもつみたてNISA向け投資信託は購入できますが、富裕層が何千万円、何億円で購入しているのではなく、たくさんの人が数万円ずつ購入した積み重ねだと考えると、これも大きな変化です。

かつて、個人投資家は下げ相場では退場すると言われていました。下げ相場になると個人投資家は誰もいなくなり、本格的な上昇相場になると、ようやく戻ってくると言われたのですが、今のような時期に個人の買いがあるというのは大きな変化があったということです。

実は、投資信託は一日に一度しか値付けがありません。これもデイトレードではないことを示唆しています。投資信託は今日明日の値動きで売り買いするタイプの金融商品ではないので、今は値下がりしているが、長期的にはチャンスとみた個人の動きだと考えられます。

また、2200億円の多くが分散投資されたインデックス型の投資信託であることも特徴的です(詳しくはリンク先記事を参照)。一部の企業のニュース報道(「あつ森」が1200万本売れたらしいから任天堂株を買うとか)で短期的に買うのではなく、国内あるいは世界全体をまんべんなく買うアプローチがインデックス運用の考え方です。近年ようやく普及してきた投資方法ですが、それが本当に形になってきたといえます。

どの見立ても、実はとても特徴的な動きです。この2カ月の動きは、もしかすると、日本の投資家イメージが変わっていく一歩目になるかもしれません。

積立投資をスタートするなら、大きく下げたときは絶好のタイミングである

あなたが「株価も下がっているし、ここで一儲けしてやろう」と100万円単位でお金を入金したいのであれば、これはあまり勧めません。しかし、積立投資をゼロベースからスタートしようというのなら、これは強くおすすめします。

あなたがもし、幸いにして収入が下がっていないのであれば、この時期に口座開設をしてiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAを行うことをおすすめします。

株価が下がる時期は、そう簡単にねらって待てるものではありません。そして、いつかは社会経済は回復して再成長に転ずる、ということを信じられるのであれば、今は投資をスタートするタイミングといえるでしょう。

少額の定期購入であれば、このあともう一度株価が下がるようなことがあっても無理なく投資を続けていくことができます。100万円の投資初体験でさらに20%下がったら心落ち着きません(20万円の含み損ですから)。しかし、毎月2万円の積立投資が半年後にさらに20%下がったとしても、元本12万円の2割ですから、それほど怖いことはありません(衝動買いして失敗した服1着くらいと思ってみてください)。

むしろもう一度下がることがあれば、さらに安い価格で新規購入ができ、それは将来の経済の回復時には大きな運用収益としてあなたを豊かにしてくれることでしょう。

世界はいつか回復すると信じて、投資をスタートしてみてはいかがか

執筆時点では、日本の株価は日経平均株価で20000円前後まで戻しています。ただ楽観視はできません。世界的な感染拡大に伴う行動制限の実施は、経済を一時的に縮小させることは避けられません。

病院や食品購入以外の外出は原則禁止、2人以上の会合は禁止(ニューヨークの場合)、のようなことがこれからも世界で続けば、旅行業はもちろん飲食業も大打撃です。映画等のアミューズメント産業も痛撃を食らっています。

「今が一番下がっている。買ったあとから上がるに違いない」とは決めつけないでください。むしろもっと下がっても気にせず、継続できる金額で積立投資を行うことが大切です。

それこそ、日経平均株価が10000円になろうとNYダウが10000ドルになろうと、投資を続けられるくらいの積立額を設定しましょう。いつか必ず、経済はよみがえります。

今回の新型コロナウイルスに効くワクチンが開発されればその製薬会社の株価は上がります。宅配等のビジネス、ECサイトのビジネスは今回を機にもっと拡大するでしょう。テレワークニーズに伴うパソコンや導入サポートの需要もあります。

そして新型コロナウイルスへの対処ができるようになり、人類がこれをおおむね克服した頃には、アミューズメントも旅行も再開されますし、居酒屋にも人が戻ります。しばらくガマンしていた分、大賑わいとなるかもしれません。

もともと赤字だったお店が倒産することもありますが、しっかりしているお店はこの機をチャンスと捉えています。たとえばあえて休業して店舗のリフォームをするチェーン店があります。彼らは、未来のチャンスに備えて爪を研いでいるのです。そうした企業は経済回復時の立役者となるでしょう。

あなたは難しいことを考えず、長い目で見て投資を続けてください。iDeCoやつみたてNISAであれば、国内外に分散投資される投資信託(できれば株式投資比率の高いもの)をひとつ購入するだけで十分です。それだけで世界中の経済回復を大きなリターンとすることができるはずです。

回復には5年あるいは7年かかるかもしれません(過去、リーマンショックのとき、アメリカが5年、日本が7年半くらい株価回復までかかっている)。そのとき、普通に暮らす国民の多くが、資産を大きく増やすことができるかは、この数カ月(今からでも遅くありません!)に投資をスタートできるか、にかかっているのかもしれません。

あなたは、どうしますか。