統一地方選で誕生した女性が政治の中心となった自治体に注目すべき
なかなか変わらない日本。だが、そんな日本でも変化が起きていることは、拙記事「『変われない』日本が、3つの事例から学べること」(2023年1月2日)でも述べた。
また、変わらない日本を変えるには、そのプレイヤーを変えることが必要であることを、拙記事「義務的パリテ制の導入で、政治のプレイヤーを代えよう」(2022年2月20日)。
しかしながら、国際社会の大きな変化および混迷の中において、日本が相変わらずなかなか変われていないと、筆者は強く感じてきている。
だが、そのような筆者の感触や考えは間違っていたのかもしれないと感じる出来事(そうであることを願っている!)が起きてきている。
それは、先月の統一地方選で起きた。一般的に、地方議会は、国会以上に保守的で男性中心だ。そんななか、全体からみればいまだ少ないとはいえるが、市長選では7名の女性市長(過去最高)、東京23区では江東区・豊島区・北区で女性区長(これで23区中過去最高の6名が女性区長)が当選し、東京都杉並区および武蔵野市、千葉県白井市、兵庫県宝塚市、埼玉県三芳町の5市区町の議会議員選では、女性の当選者が半数を超えたのだ(注1)。
特に杉並区・武蔵野市および宝塚市は、女性が首長である。つまり、その3自治体は、立法および行政の両方が女性が中心ということだ(注2)(注3)。
これらのことは何を意味するかというと、それらの地域では、政治において、従来とは異なるプレイヤーが中心になったということだ。
日本においても、これまで社会や時代の変化に伴い、制度・仕組みや政策において、さまざまな改善や変化等がなられてきた。だが、それは、基本的に、これまでのもので利益を得てきた多様性のない政治プレイヤーによってなされたもので、飽くまでも現状の微調整による改善・変更で、現状の枠を大きく変えるものにはなりえなかった。現状で利益を得てきた者が、その現状を大きく変更・改革することがないし、そうできないことは、ある意味当然だ。
筆者の経験からしても、プレイヤーが2、3割変わっても、マジョリティーの意見や考え等の現状を大きく変えるのは難しいのが現実だ。その意味からも、行政のトップが変わり、立法に関わる人材の半分を従来のマイノリティー(日本の場合はまずは女性)が、マジィリティーを占めることの意味は非常に大きいということができる。
筆者は、女性が、政治の半分を占めれば、日本や各地域がすぐ良くなると考えているわけではない。しかし、それにより確実に変化は始まるといえるだろう。そして、その変化およびその試行錯誤からしか、よりよい社会・国は生まれてこないと考えている。
その意味で、今回の統一地方選の結果は、日本が大きく変わっていく「始まり」になるのではないかと期待し、注目している。
(注1)これ以外にも、群馬県榛東村では女性村長なども誕生している。
(注2)議会は本来、女性だけではなく、年齢・職業経験・背景などさまざまな面で、より多様な人材から構成されていくのが理想である。
(注3)なお、ご存じのように、杉並区と武蔵野市のある東京都の知事も女性であり、杉並区(除南東部の一部)が対象となる東京8区(小選挙区)選出の衆議院議員も女性である。