欧州組を代表する日本人選手と言えば、少し前まで、南野拓実が断トツの存在だった。2020年の初め、前シーズンの欧州ナンバーワンチーム、リバプールに入団。周囲を驚かせたが、ご承知の通り、その1年後にあたる今季途中、サウサンプトンにレンタル移籍した。

 落ち着くべき場所に落ち着いた印象だ。南野はサウサンプトンで6割程度出場。苦戦しながらも、それなりに活躍したと評すことができる。今季、UEFAリーグランキングで、スペインリーグを抜き、首位の座に返り咲いたプレミアリーグで、ただ1人プレーしている選手でもある。

 プレミア、スペイン、さらにはイタリア、ドイツ、フランス、ポルトガル、オランダ、ロシア、ベルギーの順で続く、欧州の各国内リーグの優劣を示すUEFAリーグランキング。選手としての価値や格はそれに、出場時間、所属クラブの各国内リーグにおける順位などを勘案することにより、おぼろげながら見えてくる。

 ランキング1位のプレミアで、今季15位の成績を収めたサウサンプトン。南野はそこで6割程度、出場した。

 ランキング2位、スペインリーグの久保建英(ヘタフェ16位)、岡崎慎司(ウエスカ18位)、武藤嘉紀、乾貴士(エイバル20位)には確実に勝る。

 同3位のイタリア(セリエ)の吉田麻也(サンプドリア9位)と富安健洋(ボローニャ12位)との比較では、どうだろうか。吉田はそこで6〜7割、富安は8割強、それぞれ出場した。

 多くの日本人選手がいる、同4位のドイツ(ブンデスリーガ)、そして同5位のフランスの状況は、以下の通りだ。

鎌田大地(写真:岸本勉/PICSPORT)
鎌田大地(写真:岸本勉/PICSPORT)

 長谷部誠、鎌田大地(フランクフルト5位)は、7〜8割出場。今季、冬の移籍市場で移籍した遠藤渓太(ウニオン・ベルリン7位)は5割と健闘。遠藤航(シュツットガルト9位)は、ほぼフルタイム出場を果たしている。また、フランスリーグの酒井宏樹(マルセイユ5位)は7〜8割で、チームメイトの長友佑都は5割程度だ。

 南野は、プレミアのリーグとしての優位性を考慮しても、吉田、富安、長谷部、鎌田、遠藤航、酒井らといい勝負だ。しかし、プレミアは他国と違い交代枠3人制で行われている。そのうえ南野はアタッカーだ。ディフェンスの選手より、ポジション的に途中交代の対象になりやすい。より激しい競争の中に置かれているので、南野の出場割合は1割増しに相当すると考えていい。

 この中では鎌田も同様にアタッカーなので、南野と同レベルに据えたくなる。日本人の欧州組の中で格が高い選手は、南野か鎌田か、と言うことになる。

 さらに、もう1人加えたくなるのは、ベルギーリーグのゲンクに所属する伊東純也だ。ゲンクは国内リーグ上位4位チームで争われる、プレーオフ・チャンピオンシップに出場。見事優勝を飾った。伊東は、ほぼフルタイム出場の活躍で、シーズンを通し11ゴール、アシストも14記録した。UEFAリーグランキング9位。ベルギーリーグのレベルはけっして高くないが、優勝に大きく貢献する活躍を見せたことを踏まえると、伊東は南野、鎌田と並ぶ選手に見える。あるいはそれ以上、との見方があっても不思議はない。

南野拓実(写真:岸本勉/PICSPORT)
南野拓実(写真:岸本勉/PICSPORT)

 南野、鎌田、伊東と言えば、3月に行われた韓国戦(横浜)及びモンゴル戦(フクアリ)で、4-2-3-1の3の列でスタメンを飾った3人そのものだ。まさに日本を代表する欧州組が、代表チームの1.5列目に顔を並べていることになる。

 森保ジャパンがスタートした頃を振り返れば、このポジションの3人は久保、南野、堂安律だった。南野は現在とは別の選手と列記されていた。

 堂安は今季、PSV(ランキング7位のオランダリーグで今季2位)から、ビーレフェルト(ランキング4位のブンデスリーガで今季15位)へ移籍。フィールドプレーヤーとして、チーム内で一番の出場機会を得た。看板FWとして活躍したわけだが、得点は5で、アシストは2に止まる。伊東と比較すれば、どちらに勢いがあるかは明白だ。日本代表の右ウイング争いにも、欧州での優劣が反映されている格好だ。

 1.5列目に、左から南野、鎌田、伊東が並んだ先の韓国戦、モンゴル戦で、最も居心地悪そうにプレーしていたのは南野だった。4-2-3-1の3の左という場所に、マッチしたプレーができていなかった。

 かつては、久保、堂安の両ウイングを脇に従える1トップ下だった。南野は「3人」の中で、真ん中に位置していた。同じポジションの鎌田が台頭したために、南野は1トップ下が似合う背番号10をつけていながら、左に押し出されることになった。ザックジャパン時代の香川真司を彷彿とさせる、ミスマッチ感を露呈させることになった。

 だが、前戦モンゴル戦を振り返れば、森保監督はその後半、左サイドが得意そうではない南野の特性に適った布陣に変更した。4-3-3。南野と鎌田はそれぞれ、そのインサイドハーフの位置に納まった。

伊東純也(写真:岸本勉/PICSPORT)
伊東純也(写真:岸本勉/PICSPORT)

 鎌田にとっては、ベストポジションより、わずかに低いようにも見えるが、4-2-3-1上に露呈するバランスの悪さは、この変更で一気に解消された。特に南野にとってこの4-3-3は、歓迎すべき布陣になるはずだ。

 今月28日に行われるミャンマー戦を皮切りに、日本代表はこの半月強の間に日本各地で5試合戦う。一番の注目は、やはり南野、鎌田、伊東の関係になる。彼らを日本のストロングポイントにすることができるか。

 南野はサウサンプトンでシーズン終盤、左よりさらに苦手そうな、右のサイドハーフとしてもプレーしている。出場機会は、カバーすることができるポジションの数に比例するといっても過言ではない。

 ちなみに森保監督は、就任して2年半、3-4-2-1か4-2-3-1、あるいは4-4-2でしか戦ってこなかった。4-3-3を採用したことはちょっとした事件だった。とはいえ、南野と鎌田の関係を重要視するなら、4-3-3は当然の選択になる。

 4-2-3-1と4-3-3は、概念的に親戚関係にある布陣だが、森保監督が1年と少し前まで、好んで使用してきた3バック(3-4-2-1)は、さにあらず、だ。それぞれは本来、水と油の関係にある。

 3-4-2-1の布陣上に、この3人を置けば、1トップ(CF)の居場所はなくなる。もしくは1トップ下の居場所はなくなる。前線の人数を1人削り、その分を後方に回す守備的なサッカーでは、日本の魅力は表現されにくい。

 三笘薫、坂元達裕、前田大然、古橋亨梧、遠藤渓太、食野亮太郎など、久保、堂安以外にも、3が務まりそうな、レベルの高い候補は目白押しだ。その魅力が最大限発揮されれば、日本代表のサッカーの見映えはさらによくなる。戦力もアップするものと確信している。日本のストロングポイントを機能させることができるか、森保采配に目を凝らしたい。