スタンドや画面の「手前側」でプレーする成長を認めざるを得ない好選手

(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 メインスタンドとバックスタンド。縦長のピッチが横長に見える場所に座る観衆の目に、焼き付きやすいのは、目の前でプレーする選手、つまりタッチライン際でプレーする選手だ。ウイングあるいはサイドハーフ、サイドバックになる。

 動画観戦でも似たようなことが言える。目に一番飛び込んでくるのは、大きく写りやすい画面手前でプレーする選手だ。

 マジョルカで今季、ドリブル得意な右ウイングとしてプレーした久保建英は、そうした意味でテレビ映えした。少なくとも前後半どちらか45分間、その姿は画面に大写しになる。視聴者の印象に無意識のうちに刻まれやすくなる。人気を集めやすいポジションと言ってもいい。

 その視点で今節のJリーグを見渡した時、パッと頭をよぎった選手はFC東京の右SB室屋成になる。インパクトを感じさせたのは、0-1でリードされた札幌戦の後半44分、同点ゴールを叩き出したシーンだ。右に大きく開いて構えた状態から、中央でレアンドロがボールを持つと、バックラインの背後に走り込み、自らの懐にラストパスを呼び込んだ。

 ハッとさせられたのは、その右足トラップだった。トップスピードで駆け上がったにもかかわらず、ボールの勢いを完璧に殺し、シュートが放ちやすい場所にボールをセットした。トラップした瞬間、ゴールは見えたも同然となった。繰り返すが、トップスピードでボールを受けたにもかかわらず。

 室屋に対して抱いてきたイメージが更新された気がした。こちらの目を瞬間、ハッとさせた理由だ。しかし同選手は、その前の試合、対浦和戦でもハッとするプレーを見せている。

 ディエゴ・オリベイラの先制ゴールをアシストしたシーンだ。CB森重真人のサイドチェンジ気味の長いボールをワンタッチでナイストラップ。そこから、対峙する浦和の左SB山中亮輔を縦に外したフェイントがなにより秀逸だった。こちらも従来のイメージを超える技巧だった。

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たかがサッカーごときに、なぜ世界の人々は夢中になるのか。ある意味で余計なことに、一生懸命になれるのか。馬鹿になれるのか。たかがとされどのバランスを取りながら、スポーツとしてのサッカーの魅力に、忠実に迫っていくつもりです。世の中であまりいわれていないことを、出来るだけ原稿化していこうと思っています。刺激を求めたい方、現状に満足していない方にとりわけにお勧めです。

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スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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