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タッチラインの数メートル内側に仮想のラインを引いてみる

杉山茂樹スポーツライター
(写真:アフロ)

 採用する布陣が異なるA対Bの一戦で、ピッチ上に発生した(する)傾向を、布陣図上に落とし込みながら語ろうとすれば、目はAB両軍選手の配置がズレている箇所に向く。そして「Aはワンボランチの脇が狙われやすいですね」とか「Bは3バックの両サイドが狙われやすいですね」などと、各所に発生する数的有利、不利を探り、分析や予想の材料にしようとする。

 たとえば、森保ジャパンが採用する3-4-2-1と水と油のような関係にある4-3-3がマッチアップすれば、ズレはピッチのあちこちで発生する。そのズレは、その隣で発生しそうなズレにも影響を及ぼす。それぞれは互い連鎖し合う関係にあるのだ。

 とはいえ、それぞれのズレがもたらす影響力にはばらつきがある。試合内容に最も強い影響力を及ぼすのはどの箇所のズレか。差を広げやすいズレはどこか。地震に例えて言うならば、どの断層がピッチ全体に大きな揺れをもたらす可能性を秘めているか。優先順位をつけて考える必要がある。

 105m×68mのピッチは、閉ざされた空間だ。ゴールは68mある横幅の中央部分に置かれているので、おのずと中央は外側より密集度が高く、外の密集度は中央より低くなる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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