敗因を精度に求めたがる監督に、懐疑的な目を向けたくなる理由

乾貴士対カルバハル(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

 Jリーグ、代表戦等の試合後に行われる監督記者会見。そこでほぼ毎回、登場する台詞に「精度」がある。「もっと精度を高めていかなければ……」と、監督は反省を口にする。パスの精度、シュートの精度、クロスの精度等が、そこで登場する精度の内訳になるが、はたして精度不足の解消は、実現可能な問題だろうか。練習すれば、目に見えて上達するものだろうか。

 クロスの場合ならば、もう少し具体的に、視野の狭さとキックの技量不足と言うべきだろうが、そうした個人のポテンシャルだけが失敗の原因だろうか。ダメな場合は蹴る前から、ダメそうな雰囲気に包まれる。ゴールが決まりそうな場合はその逆、蹴った瞬間、もっと言えば、蹴る前の段階で、決まりそうな雰囲気が漂う。

 クロスを蹴ることが、その瞬間におけるベストな選択でないにもかかわらず、蹴ってしまっている。これがダメな例によく見られる傾向だ。精度の問題というよりプレーの選択ミス、判断ミス、アイディア不足、企画力不足。そう思わせるシーンに多々遭遇する。

 クロスを蹴り込む瞬間、相手の中央のディフェンスが整っているか、崩れているか。蹴る側が、狙って蹴ることができる態勢にあるか。タイミングの問題に加え、蹴る場所の問題も関係する。そのクロスはプラスなのか、マイナス(折り返し)なのか。ターゲットから遠いのか近いのか。それによって可能性は膨らんだり萎んだりする。

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杉山茂樹

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たかがサッカーごときに、なぜ世界の人々は夢中になるのか。ある意味で余計なことに、一生懸命になれるのか。馬鹿になれるのか。たかがとされどのバランスを取りながら、スポーツとしてのサッカーの魅力に、忠実に迫っていくつもりです。世の中であまりいわれていないことを、出来るだけ原稿化していこうと思っています。刺激を求めたい方、現状に満足していない方にとりわけにお勧めです。

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スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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