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その3バックの性格は? 攻撃的か、守備的か。数字の先を語る重要性

杉山茂樹スポーツライター
コンフェデレーションズカップに「3バック」で臨んできたドイツ代表(白×黒)(写真:ロイター/アフロ)

チリ代表は、これまで3バックをたびたび使用してきたが、今回のコンフェデ杯では今のところ4バック(4−3−3・中盤ダイヤモンド型4−4−2)で通している。その一方で、従来、主に4バックだったドイツは、3バックで臨んでいる。すでに敗退しているオーストラリアも同様。従来の4バックではなく3バックで戦った。

3バックと4バック。世の中で多数を占めるのは4バックながら最近、増加傾向にあるのは3バックだ。とはいえ、「だから何?」と問われれば言葉に窮する。布陣はおおよそ、3バックか4バックかに分類される。そうした意味では、3か4かは分類の基準になり得るが、区別することに特段、意味はない。そこは重要な論点にはならない。サッカーの中身、性質を語ろうとした場合。

3バック、4バックそれぞれには、様々な種類がある。特に3バックの幅は広い。攻撃的な布陣もあれば、守備的な布陣もある。

その布陣は、攻撃的なのか、守備的なのか。3か4かの前に本来、語るべきはこちらだ。ピッチの横幅は68m。そして、その最後尾を3人でカバーしようとするのが3バックだ。しかし、相手がピッチを広く使って攻撃してくると、3人でカバーすることは難しくなる。3人はゴールのある真ん中を中心に構えるので4人ではなく、5人になりがちだ。

先天的に3バックは5バックになりやすい傾向を抱えている。後ろに人数が多く滞りやすい。つまり、守備的になりやすいわけだが、一方で5バックになりにくい3バックも存在する。サイドの攻防で後手を踏みにくい3バックだ。サイドで後手を踏みやすいか、踏みにくいか。3バックの特徴を語る上で、これは重要なポイントになる。

5バックになりにくい3バックの代表は3−4−3。今回のコンフェデ杯でドイツ代表が採用している布陣だ。相手に両サイドを突かれても、最終ラインは3から5に変容しにくい。両サイドで構える枚数は各2人。備えはできている。3−4−「3」の「3」の両サイドが高い位置で構え、相手のサイドバックの攻め上がりを牽制しているので、数的に不利な状況になりにくい。4の両サイドは、プレッシャーを受けて後退しにくいのだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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