メッシがいるから勝てないアルゼンチン

ブラジル、アルゼンチン、ドイツの3強にフランス、オランダが続く。

ブラジルW杯の優勝争いの行方を、ブックメーカーはいま、そのように占っている。

僕には、3強の中では地の利のあるブラジルと、高位安定のドイツが良さそうに見えるが、信用すべき本命とは言い難い。

今大会は、好試合が続出しているが、その背景にあるのは、上位と下位との差が接近していることにある。トップチームの力がそれほど伸びていないのに対し、下位チームのレベルは上がっている。番狂わせはまだまだ起きる。僕はそう睨んでいる。

一番危なそうなのはアルゼンチン。1−0で辛勝したグループリーグ第2戦を見てそう思った。イランの健闘は確かに素晴らしかったが、後半のロスタイムまで0−0で推移した最大の原因は、アルゼンチンの不甲斐ない戦いぶりにある。

想起するのは前回南アW杯だ。4年前はグループリーグ3連勝。決勝トーナメント1回戦でもメキシコに勝利し、ベスト8までの道のりは成績的には上々だった。しかし、マラドーナ監督のサッカーは、褒められなかった。

それを象徴したのはメッシのポジションになる。彼が中盤まで下がり、ゲームメーカー役をこなしているところに最大の問題があった。メッシは5試合でノーゴール。最大の武器である決定力を発揮できなかっただけではない。中盤の低い位置でドリブルをしては奪わる負のプレイも見せた。

準々決勝の相手、ドイツはそこに狙いを定め、突いてきた。

中盤の低い位置でドリブルをするメッシ。これは少しも怖くない。それどころか、チームにとってはリスキーだ。しかも、メッシは守備能力が著しく低い。彼を中盤に置くと、相手ボールになった時、組織的にボールを奪うことができにくくなる。

「メッシは私の後継者。大将だ」と語ったのは、当時のマラドーナ監督だが、そのメッシは、逆にチームに穴を作った。その結果、アルゼンチンはドイツに0−4で大敗。無残な姿をさらけ出した。

4年前のアルゼンチンは、メッシの使い方を誤り、戦術的にかなり酷いサッカーをした。今回はどうするのか。アレハンドロ・サベーラ監督がメッシをどこでどうやって起用するのか。前回だと同じだと危ないと思っていた。

心配は杞憂に終わらなかった。初戦のボスニア戦、続くイラン戦に苦戦を強いられた理由は、4年前とまったく同じ。ブックメーカーから優勝候補の2番手に挙げられているチームとは思えない、前時代的なサッカーをした。

試合前に配布されるスタメンの予想布陣によれば、メッシは4−3−3の右ウイングに位置している。だが、実際に試合が始まると、彼は真ん中に入る。香川と同じような行動に出るのだ。だが、香川よりその位置はずっと低い。本田の位置、いや、遠藤の位置まで下がることも珍しくない。

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たかがサッカーごときに、なぜ世界の人々は夢中になるのか。ある意味で余計なことに、一生懸命になれるのか。馬鹿になれるのか。たかがとされどのバランスを取りながら、スポーツとしてのサッカーの魅力に、忠実に迫っていくつもりです。世の中であまりいわれていないことを、出来るだけ原稿化していこうと思っています。刺激を求めたい方、現状に満足していない方にとりわけにお勧めです。

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スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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