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「ロンドン五輪での清水聡を覚えている」 WBO世界フェザー級王者ロベイシ・ラミレス

杉浦大介スポーツライター
Mikey Williams/Top Rank

7月25日 東京 有明アリーナ

WBO世界フェザー級タイトル戦

王者

ロベイシ・ラミレス(キューバ/29歳/12-1, 7KOs)

12回戦

清水聡(大橋/37歳/11-1, 10KOs)

 世界バンタム級の元4冠王者・井上尚弥(大橋)がWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(キューバ)に挑戦するビッグカードのセミファイナルに興味深い世界戦がセットされた。

 ロンドン五輪フライ級、リオ五輪バンタム級の金メダリストで、プロでもWBO世界フェザー級王座を獲得したラミレスに、ロンドン五輪バンタム級の銅メダリスト、清水が挑む。エリートアマ同士のプロでの対決はハイレベルの戦いとなることが必至だ。

 5月20日、ラスベガスでラミレスの独占取材を行った。リオ五輪でシャクール・スティーブンソン(アメリカ)に最後の黒星を味合わせたことでも知られるサウスポー。その言葉から、日本での戦いへの意気込みが溢れ出てきた。

 *インタビューは英語/スペイン語の通訳を通じて収録された

日本のことをもっとよく知りたい

――世界王者になっての初防衛戦に清水を選んだ理由は?

ロベイシ・ラミレス(以下、RR) : 最終的には様々な要因から判断したが、何よりも日本のような国で試合ができるという点が大きかった。素晴らしい経験になるはずだし、来日戦を楽しみにしている。

――清水の印象は?

RR : 私はすべてのボクサーをリスペクトしており、どんな相手でも過小評価はしない。清水との対戦を決める前、それほど詳しく相手を研究した上で決断したわけではなかった。ただ、試合までにしっかり調査し、適切な対策を立てた上で対戦に臨むつもりだ。

――今回は五輪メダリスト同士の対戦になる。清水のことはいつ頃から知っているのか?

RR : ロンドン五輪で銅メダルを獲得したのは知っているし、清水の名前はアマチュア時代から耳にしていた。五輪の準決勝で(のちに金メダルを獲得する)ルーク・キャンベル(英国)に敗れた試合の記憶もある。

――来日戦が楽しみということだが、敵地で戦うことへの不安は?

RR : 私はキューバでは戦えないので、基本的に常にアウェイで試合をすることになる。アマ時代に様々な場所で戦ったし、去年、スコットランドのグラスゴーでもリングに上がった。日本の人々は非常に公平だといい話ばかりを聞いているから、判定に関してもまったく心配はしていない。

撮影・杉浦大介
撮影・杉浦大介

――来日前後のスケジュールは?

RR : 少し早めに来日することは話しておきたい。試合後、そのまま数日間は日本に残り、観光したいと思っている(笑)。日本についてもっと知りたいし、現地のカルチャーを感じられるようなことを体験したい。

井上戦は「いずれ実現するかもしれない」

――清水戦に向けたトレーニングはどこで行うのか?

RR : これまで通り、ラスベガスで行う。私はマイアミに住んでいるが、試合前の練習はラスベガスのイスマエル・サラス・トレーナーの元で行っている。

――井上尚弥選手がメインイベントに登場する興行のセミに1階級上の王者であるあなたの試合が組み込まれたことは、今後への伏線と考えるファンもいる。井上との対戦を考えたことは?

RR : その可能性を否定するつもりはない。彼は彼の階級で、私は私の階級でそれぞれ戦うことになるが、いずれ対決が実現するかもしれない。将来、何が起こるかは誰にもわからない。

――井上選手の印象は?

RR : 彼のニックネームがすべてを物語っている。彼は“モンスター”だ。このスポーツに必要なすべてを持っていることはすでに証明されている。とてもいいボクサーだ。

――日本のファンに言いたいことは?

RR : 日本に行って、エキサイティングな試合ができるのを楽しみにしている。日本のファンは情熱的で、ボクシングをよく知っていると聞いている。私の試合も楽しんでもらい、今後の私のキャリアも追いかけて欲しい。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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