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ボクシング界で最高級のファンベースを持つプロスペクト マイケル・コンラン(アイルランド)インタヴュー

杉浦大介スポーツライター
Photo By Mikey Williams/Top Rank Boxing

マイケル・”ミック”・コンラン(アイルランド/26歳)

Michael "Mick" Conlan

 2012年ロンドン五輪フライ級銅メダリスト、2015年アマ世界選手権バンタム級金メダリスト。昨年のリオ五輪ではバンタム級準々決勝でロシア選手に敗れ、判定への不服からリング上でジャッジに中指を立てるパフォーマンスで一躍有名になった。 その後、プロ入りを表明し、トップランクと契約。米西海岸に渡り、世界王者オスカル・バルデス(メキシコ)、ジェシー・マグダレノ(アメリカ)のトレーナーを務めるマヌエル・ロブレスの指導を受ける。

 プロデヴュー直前のインタヴュー

 「目標は3階級制覇。アジア、日本進出も視野に入っている」 元アマ王者マイケル・コンランがプロデヴュー

 セント・パトリック・デイ(アイリッシュの祝祭日)の3月17日、マディソン・スクウェア・ガーデン・シアターでプロデヴュー。最初の4試合をすべてKO勝ちし、2017年は5戦5勝4KOの成績で2017年を終えようとしている。今回のインタヴューは、大きな注目を集めたワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)対ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)のアンダーカードで行われたプロ5戦目(対ルイス・モリーナ(アルゼンチン))の前に収録された。

プロボクシングは”マラソン”

ーープロ転向から約8ヶ月が経ちましたが、ここまでをどう振り返りますか?

MC : 良い感じで来ていますよ。最初の4戦は全勝全KOですし、自分が進歩していることを嬉しく思っています。これからも良いパフォーマンスを見せていきたいですね。 

ーープロボクシングとアマチュアボクシングの違いはどこに感じますか? 

MC : ペースの違いですね。アマチュアは試合のペースが速く、例えるならばスプリント(短距離走)。一方、プロはマラソンです。(グローブが小さい)プロのパンチはよりハードですが、個人的にはペースの違いが最も大きいと感じています。 

ーー現代のボクサーとしてはかなり短い間隔で試合を行っていますが、その点はどうですか? 

MC : 8ヶ月間で5試合できたことには満足しています。2ヶ月に1戦よりも短い間隔ということですからね。来年はもっと早いペースで試合をしても良いかなとすら思っています。

ーーそれでは来年も5、6戦はしたいと?

MC : はい、間違いなく5、6度はリングに立ちたいです。あともう1戦加えても良いかもしれません。来年はまず3月17日に再びマディソン・スクウェア・ガーデン・シアターの興行に出場が決まっていますし、その後にベルファストのリングにも立つ予定です。 

ロスアンジェルスは”職場”のようなもの

ーー当初はスーパーバンタム級で戦っていきたいと話してましたが、現在のプランは? 

MC : 4戦目からフェザー級に上げました。アメリカの食事は素晴らしすぎるのかもしれません(笑)

ーー(笑)。プロ転向に際して母国ではなくアメリカでの生活を開始したわけですが、希望通りにボクシングに集中できていますか? 

MC : (アイリッシュの多い)ニューヨークに来るとかなり熱狂的に迎えてもらえて、それはとても嬉しいことです。(拠点にしている)LAに帰るともっと静かで、誘惑も少なく、“故郷”ではないですが、“職場”という感じになります。

筆者の質問に答えるコンラン。お洒落なことでも定評がある (杉浦大介)
筆者の質問に答えるコンラン。お洒落なことでも定評がある (杉浦大介)

ーーアイルランドにはたまに帰っているんですか?

MC : 今年は2度帰りました。1度目は3週間、2度目は弟の結婚式で2週間、故郷に滞在しました。たまに母国に帰って家族、友人たちに逢うと、楽しいし、英気が養えますね。気分を新たにしてトレーニングに戻れます。

ーー外国でプロキャリアを開始したわけですが、母国の人々のサポートは変わりませんか? 

MC : 依然としてみんなクレイジーなまでに応援してくれます。ホームタウンの人々はアメリカで暮らし始めて以降も僕の一挙一動に注目し、サポートしてくれます。今回の試合のためにも多くの人がニューヨークに駆けつけてくれたんですが、(メインのロマチェンコ対リゴンドーが超人気カードになったため)チケットが手に入らない人がたくさん出てしまったことが残念です。また、アメリカに住んでいるファンが一生懸命に応援してくれることも嬉しいですよね。僕はボクシング界でも最高級のファンベースを持っていると自負しています。

ーープロでも1年近くを過ごし、見えてきた目標はありますか? 

MC : 3階級を制し、アイルランドの歴史に刻まれるボクサーになりたいというのが長期視野での目標です。まず当面の目標は最初の世界タイトルを獲ることですね。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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