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「ジョシュア、ワイルダーは俺のパンチに耐えられやしない」 ヘビー級無敗プロスペクト、ジャレル・ミラー

杉浦大介スポーツライター
Photo By Ed Mulholland/Matchroom Boxing

1988年7月15日生まれ 29歳

ニューヨーク ブルックリン出身

ボクシングでのプロ戦績 19勝(17KO)1分

 ニックネームは“ビッグ・ベイビイ”。キックボクサーとしても21勝(9KO)2敗という実績を残し、K-1グランプリで来日経験もある。プロボクサーとしては1分を挟んで連勝を続けており、現在8連続KO勝利中。300パウンド近い巨体とアグレッシブなファイトスタイルが魅力で、ヘビー級プロスペクトとして徐々に注目を集めるようになった。11月11日にはHBOで全米中継される興行のセミファイナル登場が決定。2012年に当時の統一王者ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)に挑戦した経験も持つマリウシュ・ワフ(ポーランド)とノンタイトル戦を行う。

ヘビー級に俺よりボディ打ちが上手い選手はいない

ーー11月11日の次戦では会場のファン、HBOの視聴者に何を見せたいですか?

JM:体重約300パウンドの巨漢ファイターに何ができるかをアピールしたいね。俺はそんじょそこらのヘビー級選手とはわけが違う。俺のように戦い、喋れるファイターはどこにもいない。俺は強いよ。11月11日にはショウをお見せしたい。スピード、リング・ジェネラルシップを備え、良いジャブを持ち、パワーも十分な俺のボクシングをじっくりと見て頂きたい。 

ーー相手のワフも身長2m以上とサイズに恵まれた選手ですが、ファイトプランは?

JM:背の高い選手は前に出てこれないし、インファイトも苦手なことが多い。何をやってきても、すべてにおいて上回ってやるつもりだ。今まで見たこともないような強さを見せてやる。彼は俺のような選手と戦ったことはないだろうからね。

ーー先ほども話していたように、あなたはスピード、パワー、スキルを兼備し、とても多才な印象があります。自分自身で誇りに思っている部分は?

JM:自分が何でもこなせることを誇りに思っている。俺にはまだ伸びしろが残っているよ。完璧には程遠いし、一戦ごとに成長していける。より速く、より強くなれる。今回のファイトも新たなステップに過ぎないんだ。

ーー具体的に改善したいと思っているところは?

JM:すべてだね。俺は優れたジャブ、とてつもない右、最高のボディブローを持っている。ヘビー級に俺よりボディ打ちが上手い選手はいない。ジャブでも俺がベストなんじゃないかな。ただ、さっきも言ったように、今がピークだとは思っていない。最高のアッパーカット、最高のオーバーハンドライトも打てるようになりたい。まだまだ向上していきたいね。 

ーーまずはワフ戦に集中しなければいけませんが、HBOに初登場でいわば”ショウケース”と呼べるこの試合のあと、誰と対戦したいですか?

JM:やはり(アンソニー・)ジョシュア(イギリス)に注目している。あるいはジョセフ・パーカー(ニュージーランド)に挑戦できたら良いだろうな。パーカーを綺麗にノックアウトしてやりたい。ワフと叩きのめした後、次の相手を模索するつもりだ。

東京の思い出はステーキハウス

ーー現在、世界最高のドル箱はWBA、IBF王座を持つジョシュアかと思いますが、彼の印象は? 

JM:パワフルに見えるし、コンディションも良さそうだけど、倒すべき相手を倒しているだけだ。ファイトは筋肉でやるもんじゃない。プロテインばかり飲んだところで、アゴまでは鍛えられない。俺のパンチが触れれば、沈んでいくだろうよ。 

ーーWBC王者のデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)はどうでしょう?

JM:ワイルダーもジョシュアと同じで、俺のパンチには耐えられないだろう。敏捷性を持っているし、右一発にパワーを備えているが、遅かれ早かれ、彼が大きなパンチを空振りしたところに攻め込んでやるさ。

ーーアメリカ国内であなたはワイルダーに続く存在として注目され始めています。しばらく低迷していたアメリカヘビー級を代表しているという思いはありますか?

JM:俺はアメリカだけでなく、世界を代表して戦っているつもりだ。日本のためにだって戦いたい。もともとアメリカは移民の国で、黒人、白人、スパニッシュ、アジア人が住んでいるし、日本人、中国人、インド人など多くの人が共存している国だ。アメリカはそういう国であり、つまり俺は世界を代表しているということ。俺が生まれ育ったブルックリンも人種のるつぼだからね。ブルックリンから、世界を見て戦っているよ。

ーーキックボクサーとして2012年に来日経験がありますが、東京の印象は? 

JM:東京は素晴らしかった。東京のファンはファイターを愛してくれて、僕も歓迎されたように感じた。戦士のメンタリティを持っている選手はリスペクトされる。とても気に入ったから、いつかまた日本でファイトしたいね。 

ーーファイト以外で覚えていることは? 

JM:多くのアスリートが訪れるステーキハウスがあって、オランダ出身の当時のコーチが連れて行ってくれたんだ。WWEとか、ファイターの写真が壁に貼ってあったな。そこの肉が本当に最高だったんだ。あと、街が驚くほど綺麗だったことも印象的だった。日本は俺が人生で訪れた中で最もクリーンな場所だろう。

ーーそうですか(笑)最後にヘビー級ボクサーとしての目標を聞かせてください。 

JM:まず第1に世界ヘビー級統一チャンピオンになること。それを果たせたら、世界の人々を何らかの形で助けていきたい。人々に楽しむことを教え、モチベーションを与えられるようになりたい。病気を克服するのを助け、貧困に苦しんでいる人に食料を寄付できるようになりたい。自分だけではなく、人々の役に立ちたいんだ。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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