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関東内陸で40度以上の計算も 記録的暑さに厳重警戒

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
関東各地猛暑日(写真:西村尚己/アフロ)

桐生39.6度予想

桐生の予報(ウェザーマップ発表)
桐生の予報(ウェザーマップ発表)

きょう25日(土)は関東の内陸部(群馬、埼玉、栃木)で、6月としては記録的な暑さとなるおそれがあります。

ウェザーマップが発表した桐生(群馬)の予報は上図の通りで、最高気温は39.6度が予想されています。桐生の6月のこれまでの最高気温の1位の記録は37.6度ですから、これを大きく更新する可能性があります。

熊谷39.1度予想

熊谷の予報(ウェザーマップ発表)
熊谷の予報(ウェザーマップ発表)

続いて熊谷の予報は上図の通りで、最高気温は39.1度が予想されています。

6月の1位の記録は39.8度、2位の記録は37.4度ですから、やはり6月の記録に迫る暑さとなる可能性があります。

40度超の計算も

コンピュータによる最高気温のガイダンス(ウェザーマップ発表)
コンピュータによる最高気温のガイダンス(ウェザーマップ発表)

そして、上図はウェザーマップの予想最高気温が作られるもととなる二つのコンピュータの予想ですが、MSMというガイダンスの計算では、桐生(群馬)40.5度、佐野(栃木)40.4度、鳩山(埼玉)40.1度と3地点で、40度以上の値がはじき出されています。

これは気象条件によっては、40度以上となるポテンシャルがあることを示しており、6月としてはもちろん、もし40度以上まで上がれば、年間としても記録的な暑さとなるおそれがあります。

ちなみに過去日本で記録された6月の歴代記録は、上述した熊谷の39.8度ですから、もし40度以上が記録されれば、6月としては日本の歴代では初めてのこととなります。

ちなみに東京都心は34度前後の予想です。

ではなぜこんなに暑くなるのでしょうか?それは上空の暖気と山越えのフェーン現象が影響する計算となっているからです。

上空暖気と西風フェーン現象の影響

上空1500メートル付近の気温と風向き、地上の気温の予想(ウェザーマップ発表)
上空1500メートル付近の気温と風向き、地上の気温の予想(ウェザーマップ発表)

上図はきょう25日(土)15時の上空1500メートル付近の気温と風向き(左図)、および地上の気温(右図)の予想を示したものです。

上空1500メートル付近の気温に注目すると、関東の内陸に24度以上の等値線が出現しており、これは西寄りの風が関東西側の高い山を越える時にフェーン現象を起こし、一段と昇温していることを表しています。

上空1500メートル付近で24度前後というのがポイントで、この暖気は夏場によく晴れれば、地上でこれより15度前後昇温するため、地上の気温は40度近くに達することとなります。

さらに地上付近が強い日差しで熱せられるため、これらの気象条件によっては40度以上の記録的な暑さとなることがある暖気といえます。

地上の15時の気温予想も関東内陸では広く紫色の35度以上が予想され、38度以上の等値線もみられるため、局地的には40度以上に達する可能性もある予想となっています。

また過去にはこのような気象条件で、日本の高温の歴代記録が作られてきました。

熊谷で41.1度を観測した日

上空1500メートル付近の気温と風向き、地上気温の実況解析(ウェザーマップ)
上空1500メートル付近の気温と風向き、地上気温の実況解析(ウェザーマップ)

上図は2018年7月23日に熊谷で41.1度の日本の歴代1位の記録が作られ、青梅(東京)でも40.8度を記録した時の上空1500メートル付近の気温と風向き、および地上の気温の解析です。

やはり、上空1500メートル付近では24度ラインが出現しており、関東の西側や北側からの風がフェーン現象を起こしたことで、際だった暑さとなりました。

浜松で41.1度を観測した日

上空1500メートル付近の気温と風向き、地上気温の実況解析(ウェザーマップ)
上空1500メートル付近の気温と風向き、地上気温の実況解析(ウェザーマップ)

そして上図は、2020年8月17日に浜松で熊谷と並ぶ41.1度の日本歴代1位の記録が作られた時の様子です。

やはり上空1500メートル付近には24度ラインが出現し、北西の風が山越えのフェーン現象を起こし、際だった暑さとなりました。なお、地上の実況解析では気温が低めに出る傾向があります。

桐生、伊勢崎で40.5度を観測した日

上空1500メートル付近の気温と風向き、地上気温の実況解析(ウェザーマップ)
上空1500メートル付近の気温と風向き、地上気温の実況解析(ウェザーマップ)

さらに2020年8月11日には、桐生と伊勢崎で40.5度を観測しましたが、この時も上空1500メートルには24度以上のラインが大きく広がり、西寄りの風が山越えのフェーン現象を起こしていました。

このように40度前後の高温が出る際は、上空1500メートル付近に24度前後の暖気が入り、しかも山越えのフェーン現象を伴っていることがほとんどで、きょう25日(土)もこのような条件となるため、日中、どこまで上がるかの気になるところです。

関東の内陸を中心に、際だった暑さとなりますので、熱中症に厳重な警戒が必要です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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