今週はカミナリ列島 広範囲で”ゲリラ雷雨”の発生に連日警戒を
梅雨前線は弱まっても上空寒気が強まる
上図はきょう7月11日(日)午前6時の実況天気図です。
今月に入ってから梅雨前線が本州付近へ北上し、梅雨の最盛期の状態が続いているため、きのう10日(土)は鹿児島、熊本、宮崎に大雨特別警報が発表されるなど、連日のように大雨に見舞われている状態です。
これまでの大雨は、主に日本の南海上、あるいは中国大陸南部から非常に湿った空気が流れ込んで梅雨前線が活発化しての大雨でしたが、どうやらこの湿った空気の流れは一段落しそうです。
このため、梅雨前線自体は次第に活動を弱めるため、おそらく13日(火)~14日(水)頃にかけて、一斉に梅雨明けの発表があるものと思われます。
ところが嫌な存在が天気図にも示した上空高い所に流れ込んできた強い寒気です。
夏季に大雨をもたらす要因は梅雨前線や台風をはじめ様々ありますが、この上空の寒気も大雨を降らせやすい危険な存在なのです。
上空の寒気は今週ずっと居座る?
上図に示したのは上空の寒気の予想で、一番左側が上空1500m付近、真ん中が上空6000m付近、一番右側が上空9000m付近となります。
まず上空1500m付近に注目すると、赤色や青色の表示はほとんどなく、ほぼ平年並みの状態が続く予想で、今の時期、このあたりで平年並みだと、地上付近では晴れ間が出れば30度以上まで上がります。
一方、上空6000m付近では平年より低いことを示す薄い青色が広がっており、さらに上空9000m付近ではこの傾向がより顕著で、平年より4度以上低くなっており、特に14日(水)になると、東日本付近に平年より6度以上も低い強い寒気が予想されています。
上空高い所に強い寒気が流れ込めば流れ込むほど、地上の暖かい空気との気温差が大きくなるため、非常に不安定となり、特に夏季においては雷雲の発達に大きく関係することになります。
気象の世界には雷三日という言葉があり、夏季に流れ込む寒気は3日程度で抜けていくことが多いのですが、今週予想されている寒気は3日どころか、ほぼ一週間にわたり、日本の上空に停滞するような計算となっています。
梅雨前線が弱まって梅雨明けの発表があったとしても、しばらく安定した夏空は期待薄で、まだまだ激しい雨や大雨に対して気の抜けない毎日が続きそうです。
広範囲で発雷確率の高い状態が続く
地上付近の湿った空気や上空の寒気などを元に算出される発雷確率(雷の発生する確率)をみると、きょう11日(日)からあす12日(月)にかけて、関東など東日本では75%以上の極めて高い確率となっており、14日(水)も東日本や西日本を中心に50%以上の高い確率が続きます。
また図には示していませんが、14日(水)以降も上空の寒気は居座り続けるため、発雷確率の高い傾向が続く計算です。
各地の気象台から注意喚起がされています。
これまで大雨が降った所ではまだまだ地盤が緩んでいたり、河川が増水したりしている所があるため、少しの雨でも警戒が必要ですし、これまで大雨とならなかった場所でもいつ”ゲリラ雷雨”に見舞われてもおかしくない状態です。
今週は雨による災害の他、落雷や竜巻などの激しい突風、ひょうなどにも十分な注意、警戒が必要です。