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台風10号は近来稀にみる勢力で九州に接近へ、西日本は最大級の警戒を

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風9号と台風10号の雲(ウェザーマップ2日午前10時)

台風9号は今夜にかけて九州に最接近

台風9号の予報円(ウェザーマップ)
台風9号の予報円(ウェザーマップ)

台風の進路予想(気象庁発表)

大型で非常に強い台風9号はこれから今夜にかけて、九州の西海上を北上する見込みです。上陸するおそれはありませんが、長崎県の島しょ部を中心に、西日本では暴風、大雨、高波、高潮などに厳重な警戒が必要です

台風10号、九州接近時に930hPa予想

台風10号の予報円(ウェザーマップ)
台風10号の予報円(ウェザーマップ)

昨夜午後9時、小笠原の南で、台風10号が発生しました。

そして、この台風10号は、それまで諸外国の計算であらわされていた通り、このあと顕著に発達し、近来稀にみる勢力で、6日(日)頃、九州付近へ到達する予想です。

すでにこの台風10号に関する全般情報が出されており、さきほど気象庁から報道発表もありました。

最新の予報円を少し詳しく見ると、海水温が30℃以上もあり、記録的に高くなっている海面上で急速に発達しながら北西方向へ進み、週末にかけてピークを迎え、5日(土)午前9時及び、6日(日)午前9時の中心気圧は930hPa、最大風速50メートル、最大瞬間風速70メートルの予想となっており、このピークの状態で九州付近へ到達する予想です。

台風特別警報の発表も

台風特別警報の発表指標(気象庁発表資料を抜粋)
台風特別警報の発表指標(気象庁発表資料を抜粋)

気象庁が発表している台風特別警報の指標は上図の通りです。

強い台風が来やすい沖縄や奄美、小笠原は910hPa以下、最大風速60メートル以上の猛烈な台風が指標となりますが、本州付近では930hPa以下、最大風速50メートルが指標となっており、これは今まさに予想されている台風10号の勢力そのもので、この予想が週末にかけても変わらず、接近が現実的となった場合には、台風特別警報の発表に至るものと思われます。

これまでに沖縄には台風特別警報が2度(2014年台風8号2016年台風18号)出されたことがありますが、本州付近でもし出されれば初めてのこととなります。

まだ九州への接近が週末ですから、仮に勢力がここまで強まらない、あるいは九州の西側をやや離れて通過するなどの予想に変われば、台風特別警報まで至らない可能性は十分に考えられますが、それでも九州を中心に、大荒れとなるのはほぼ間違いない状況です。今後も最新の台風情報を確認するとともに、台風への早め早めの備えをお願いします。

統計開始以来の強力台風

上陸時に中心気圧が低かった台風(気象庁発表資料を抜粋)
上陸時に中心気圧が低かった台風(気象庁発表資料を抜粋)

台風の統計がある1951年以降で、気象庁が発表している上陸時の気圧が低かった台風の順位は上図の通りです。

最も低かったのは1961年9月16日に高知県に上陸した台風18号(第二室戸台風)で925hPa、次いで1959年9月26日に和歌山県に上陸した台風15号(伊勢湾台風)で929hPa、3位が1993年9月3日に鹿児島県に上陸した台風13号で930hPaなどとなっています。

伊勢湾台風はもちろん、いずれの台風でも甚大な災害が発生しており、今回はこれらに匹敵する勢力で九州に接近してくるおそれも十分に考えられる状態です。九州を中心に西日本は最大級の警戒が必要です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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