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台風が発生していないお盆は6年ぶり、ただ災害級の暑さに厳重警戒

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雲の様子(ウェザーマップ)

再びおとなしい南の海上

天気図と台風情報(気象庁発表に筆者加工あり)
天気図と台風情報(気象庁発表に筆者加工あり)

台風情報(気象庁発表)

統計史上初めて台風の発生がゼロだった7月とは打って変わり、8月に入った途端、1日に台風3号と台風4号が発生、さらに9日に台風5号、10日に台風6号も立て続けに発生し、すでに8月の台風発生数は4個と量産体制となっていますが、台風6号が11日に消滅してからは再び南の海上がおとなしい状態となっています。

現在、タイトル画像や天気図にもある通り、フィリピンの東と日本のはるか南東の海上に二つの低圧部が解析されていますが、これは周囲より気圧が低く、循環は認められるものの、中心がはっきりしないもので、すぐに台風へ発達するものではありません。

ですから、お盆の期間(13日~16日)に台風が発生することはなさそうです。

台風の統計がある1951年以降の70年間で、お盆の期間に台風が発生していなかった年を調べると、1958年、1976年、1977年、1993年、1998年、1999年、2003年、2011年、2014年、2020年の10回となり、今年は6年ぶりに台風が発生していないお盆ということになりそうです。

また逆に言えば、お盆の期間に台風が発生していた年は70年間のうち60回ありますので、日本に接近しているしていないにかかわらず、お盆の期間に台風が発生している年は圧倒的に多いということが言えます。

ちなみに今発生している二つの低圧部のうち、東側の日本のはるか南東の海上にある低圧部は、種々の計算の中には来週後半にかけてかなり発達を見込んでいるものもありますので、今後注意を要する対象となるかもしれません。

去年と一昨年は台風が襲来したお盆

去年と一昨年の天気図(ウェザーマップ)
去年と一昨年の天気図(ウェザーマップ)

お盆に台風が発生していても、日本付近には近付いていない年も多いのですが、そんな中、去年と一昨年は台風の襲来を受けたお盆でした。

特に去年(2019年)は大型の台風10号が西日本を直撃し、広く大荒れとなったため、交通機関などに大きな影響が出ました。さらに台風によるフェーン現象が発生し、北陸地方で40℃以上を記録するような記録的な猛暑となりました。

また一昨年(2018年)は、スケールこそ小さいものの、九州付近を台風15号、また沖縄付近を台風18号が北上するという二つの台風の影響を受けました。

台風はなくとも災害級の暑さに厳重警戒

最高気温(ウェザーマップ)
最高気温(ウェザーマップ)

勢力の強い夏の高気圧にすっぽりと覆われ、さらに山越えのフェーン現象なども影響し、きょうは午前中から極めて気温が高くなっています。

正午までの最高気温は、静岡県内で特に高く、天竜38.6℃、川根本町38.5℃、浜松38.3℃となっているほか、東京都心でも35.2℃まで上がっており、35℃以上の猛暑日の地点数はすでに152地点(920地点中)に達しています。

このあと午後にかけて40℃以上に達する所が出るおそれもあり、まさに災害級の暑さとも言える状態ですので、日中における不要不急の外出はなるべく避け、出来るだけ涼しい環境で過ごすように努めて下さい。

なお、この記録的な猛暑は来週半ば頃まで続き、局地的には連日40℃以上が出るおそれがあります。

参考:デジタル台風

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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