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寒い4月、東京都心は76年ぶりに毎日10℃未満のひと桁が続く

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
こたつで温まる豆柴犬(写真:アフロ)

4月は全国で低温傾向

過去20日間の気温、平年差(気象庁)
過去20日間の気温、平年差(気象庁)

この冬は全国的に記録的な暖冬となり、この傾向は3月も続きました。

ところが4月に入ると高温傾向は終息し、それまでの反動のような感じで全国的に低温傾向となり、きのう23日までの20日間の気温をみても全国的に青一色で、3月までとはまるで真逆の傾向となっているのが分かります。

ではここで東京都心の気温に注目してみましょう。

東京都心は76年ぶりに毎日10℃未満の冷え込み

東京都心の4月の気温(気象庁発表資料に加工)
東京都心の4月の気温(気象庁発表資料に加工)

東京都心は4月に入ってから時折20℃を超える暖かな陽気が出現していますが、それでもきょう24日までにわずか5日しかなく、同期間としては2012年以来8年ぶりの少なさです。(24日18.4℃)

そして際立っているのが最低気温。

けさも8.4℃まで下がりましたが、これでグラフにある通り、今月は1日から24日まで毎日10℃未満のひと桁が続いています。(3月23日から連続)

今の平年の最低気温は10℃ちょっとなので、特に冷え込みが強いわけではないのですが、4月に入れば暖気の勢力が増してくるため、通常は数日に一度程度は10℃以上の最低気温が出てくるのがごく当たり前の現象です。

ところが今年はきょうまで途切れることなく24日連続で10℃未満のひと桁が続いており、ここまで続くのは1944年の4月(25日連続)以来、76年ぶりのこととなります。

さらに観測が始まった1876年以降で、10℃未満の日が4月1日から20日以上続いたのは、

2020年4月24日(連続中)

1944年4月25日まで

1932年4月23日まで

1925年4月20日まで

1885年4月20日まで

1881年4月20日まで

となっており、今年の記録は観測史上すでに2番目に長い記録となっているのです。

1944年は昭和19年ですから、昭和前半までの記録に匹敵しているというのは、いかにこの4月がいつになく低温だということの証明かもしれません。

ただ昭和以前の10℃未満の中には、氷が張るような寒さが何日もありますので、寒さの質はもちろん違いますが…。

記録は25日連続でストップしそう

東京の10日間予報と上空1500メートル付近の気温予想(ウェザーマップ)
東京の10日間予報と上空1500メートル付近の気温予想(ウェザーマップ)

東京都心はあす25日の朝も冷え込み、10℃未満となるのはほぼ間違いなく、これで1944年の25日連続に並ぶこととなるでしょう。

ところが26日の日曜日は日本海に低気圧が入り、暖かな南風が一日中吹きますので、最低気温は10℃以上となり、ようやくこの記録にストップがかかる予想です。

ただ上空1500メートル付近の気温の予想(5日平均)を見ると、来週中頃までは上空の寒気が優勢で、週明けは再び10℃未満の冷え込みとなるでしょう。

来週の後半になると上空の寒気はすっかり抜けるため、今度は一転して気温が高くなり、全国的に冷え込みが弱まるのはもちろん、日中は広い範囲で25℃以上の夏日が続出する見込みです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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