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東京都内のスギ花粉、統計史上3番目に早い猛烈飛散に

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
スギ花粉の飛散(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

雨上がりの気温上昇で一気に本格化

花粉の飛散状況(環境省花粉観測システムより抜粋加工)
花粉の飛散状況(環境省花粉観測システムより抜粋加工)

この冬の記録的な暖冬の影響で、都内のスギ花粉の飛散は例年になく早いものとなっています。すでに都内(八王子、青梅)では、今月早々、2月3日に過去10年平均より2週間も早く飛散開始となりました。

そして、雨上がりの翌日で、晴れて気温の上昇した今週月曜日(17日)には、お昼頃から都心周辺でもかなり多くの飛散となり、環境省の花粉観測システム(はなこさん)でも比較的大きな赤い丸が都内にも出現しています。

これは花粉自動計測器により、1時間に数百個という非常に多くの花粉を計測していることを表しています。

春一番は記録的に早い猛烈飛散をもたらす、今年は3番目に早い猛烈飛散

都内のスギ花粉飛散状況(東京都福祉保健局より抜粋加工)
都内のスギ花粉飛散状況(東京都福祉保健局より抜粋加工)

では実際、月曜日(17日)の飛散個数はどれくらいだったのか?東京都福祉保健局から多摩地方に関してデータが発表されています。

これによると、八王子、多摩、府中では、1日に1平方センチメートルあたり100個以上の花粉を観測し、今シーズン都内で初めての猛烈な飛散となりました。(ダーラム法による。10個未満少ない、10個以上30個未満やや多い、30個以上50個未満多い、50個以上100個未満非常に多い、100個以上猛烈に多い)

東京都福祉保健局で掲載している過去の花粉飛散数データから初めて都内で猛烈な飛散数となった日付を調べてみると、最も早かったのが2009年2月13日で、日本海で発達する低気圧の影響で強い南風の春一番が吹き荒れ、都内のほぼ全域で一斉に猛烈な飛散となりました。

続いて2番目に早かったのが2016年2月14日で、この日も日本海で低気圧が発達し、強い南風が吹き荒れて春一番となり、青梅で猛烈な飛散となりました。

さらに3番目に早かったのが、今年と同じ日付の2017年2月17日で、この日も春一番により、強い南風が吹いて気温が上昇し、青梅で猛烈な飛散となりました。

2001年以降のデータでは、今年は2009年、2016年に次いで、2017年と並び、3番目に早い猛烈飛散となったようですが、過去3度とも、春一番により、なかば強制的に飛び始めたのに対し、今年はそのような気象条件ではなかったため、いかに記録的な暖冬がスギ花粉の花芽を成長させたのかということが言えるのかもしれません。(前日には東海と北陸で春一番が吹いています。

今春の花粉飛散数の予測は?

今春都内で予測される花粉飛散数は、例年、昨春と比較して、ともに6割程度の見通しです。とは言え、決して少ないレベルではありません。

雨上がりで晴れて気温の上昇する日や風の強い日などは、大量飛散につながるおそれがあり、特に注意を要します。

目先、今週の土曜日(22日)は日本海で低気圧が発達するため、春一番が吹く可能性があり、上述のような猛烈な飛散となるかもしれません。万全の対策でお過ごしください。

参考:東京都福祉保健局、環境省花粉情報

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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