Yahoo!ニュース

首都圏の水がめは急減中。今夏は猛暑予想で水の管理には注意を。

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
満水位より10m以上水位の低下している矢木沢ダム(水資源機構沼田総合管理事務所)

首都圏の水がめは急減中

利根川水系8ダムの貯水量推移(東京都水道局HPより抜粋)
利根川水系8ダムの貯水量推移(東京都水道局HPより抜粋)

最新の貯水量はこちらを参照して下さい。(東京都水道局)

上図は首都圏の水がめ、利根川水系8ダムの貯水量の変化を表したものです。

今年に注目すると、5月にほぼ平年並みとなる4億トンを超える水準で推移していましたが、6月に入ると共に急速に低下していることが分かります。

これは水源地帯において、春の降水量はあまり多くはなかったものの、この冬多く降り積もった雪の雪解け水が4月以降ダムへ多量に流れ込んだことと、その一方で6月になると雪解け水の流入が終わるとともに少雨も影響して、貯水量は一気に減少してきたものと推測されます。

6月23日0時現在の貯水量は3億トンを割りこんできています。

特に首都圏最大の水がめ、八木沢ダムの貯水量は6000万トン台に落ち込んでおり、貯水率も半分近くまで低下しています。

また8ダムの一つ、草木ダムではきょうから10%の取水制限が始まりました。

これから梅雨が本格化する予想で、まだまだ水不足を危惧する段階ではないとも思いますが、今後も節水を心がけ、水の管理には十分な注意をしたいところです。

去年の今頃は深刻な渇水を危惧していた

思えば、去年の今頃は過去最も深刻な水不足に陥るのではないか?という危機感がありました。

上図平成28年のラインをみてみると、今年よりも断然早く、5月中旬から貯水量が急減し、過去最も少ない量に落ち込んだ状態が続きました。

しかし、6月後半以降は、ほぼ貯水量が減ることなく維持され、結果として8月下旬の大雨により、渇水状態に終止符が打たれました。

このように7月~8月にかけての貯水量の変化は、梅雨前線や夕立、あるいは台風などがどれ位影響するかで、予想が非常に難しいところがあります。

ただもし梅雨明けまでに平年を下回るような降水量のまま真夏が到来すれば、今後水不足が深刻化する可能性も否定できません。

今夏は7月後半以降、梅雨明け猛暑に

きょう気象庁から最新の3か月予報が発表されました。

今夏は太平洋高気圧の勢力が強まるため、7月前半にかけては梅雨前線の活動が活発となり、東日本や西日本では多雨傾向が予想されています。

例年以上に大雨に対しては警戒が必要です。

一方、7月後半以降、梅雨明けとともにチベット高気圧も勢力を増し、8月にかけて、全国的に厳しい暑さ、猛暑となる予想です。

多雨の予想とはなっていますが、水源地帯に多くの雨が降らないまま猛暑が到来する可能性も考えられますので、7月前半にかけての雨の降り方に注目です。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

杉江勇次の最近の記事