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台風1号は“異例に強い猛烈な台風1号”として、先島諸島から台湾へ

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
中心にポツンと鋭い眼がある台風へ発達(気象庁HPより)

台風1号は猛烈な勢力に発達し、台湾を直撃か

台風1号は猛烈な勢力で台湾を指向する予想(6日午前3時現在)
台風1号は猛烈な勢力で台湾を指向する予想(6日午前3時現在)

気象庁の台風予報円

統計史上2番目に遅く発生した台風1号ですが、フィリピンの東海上で急速に発達しています。

6日(水)午前3時の中心気圧は925hPaで非常に強い台風、最大風速は50m、最大瞬間風速は70mとなっています。

今後は更に発達し、中心気圧は920hPaの猛烈な勢力、最大瞬間風速は75mに達する予想です。

台風1号はその年に一番早く発生する台風で、台風からすればまだ海水温の低い春までに発生することが多く、ここまで顕著に発達することはあまり多くありません。

台風1号の低い中心気圧の記録を調べると以下の通りです。(1951年以降)

1位920hPa(1963年)

2位930hPa(2006年、2000年、1979年)

3位935hPa(1968年)

今回の台風1号は1963年の台風1号、920hPaと同程度の発達が見込まれています。

また去年までに発生した1700個の全台風と65個の台風1号について、その中心気圧が最も低くなった割合を調べてみると以下の通りとなります。

●1700個の全台風

960hPa未満623個(37%)

940hPa未満356個(21%)

920hPa未満157個( 9%)

●65個の台風1号

960hPa未満14個(22%)

940hPa未満 5個( 8%)上記3位以内

920hPa未満 0個( 0%)

データ上からは顕著に発達する(非常に強い)台風1号の割合は全台風の半分程度といったところでしょうか。

特に920hPaを割るような猛烈な勢力に発達することは極めてまれということが言えます。

なぜここまで発達?

今回の台風1号が発達している要因は、発生した地点がフィリピンの東(カロリン諸島)という最も発生後発達しやすい場所だったこと、さらに7月まで発生がずれ込み、すでに海水温が高くなっていたことなどが挙げられると思います。

フィリピンの東から沖縄周辺の海水温は30℃以上(気象庁HPより)
フィリピンの東から沖縄周辺の海水温は30℃以上(気象庁HPより)

海水温に関しては、6月から太平洋高気圧の勢力がかなり強く、長期間にわたり強い日差しが照りつけていたため、フィリピンの東から沖縄周辺にかけて30℃以上の海域が広がっています。(平年より1~2℃高い)

台風は今後もこの海水温がかなり高い海上を進み、さらに勢力を強める予想です。

気象庁の最新の台風1号の進路予想では、強い太平洋高気圧に押される形で、これまでの予想よりは石垣島の南をやや離れて通る予想ですが、まだ暴風域に入るおそれはあります。

また猛烈な勢力で直撃が予想される台湾では特に厳戒態勢が必要となりそうです。

今後も台風の最新情報にご注意下さい。

(台風のデータはデジタル台風を参考にさせて頂きました。)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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