台風12号は進路定まらず、「迷走」する可能性も
転向点が定まらず「迷走」も
今週末は隅田川の花火大会など、各地で花火大会が目白押しなのですが、そんな週末の日本列島を目指すような進路予想となっているのが昨日復活した台風12号です。
きょう21日(火)午前9時に発表された最新予報円をもとに進路をみていきましょう。
台風12号は小笠原の南海上を西寄りに進んでいます。昨日、熱帯低気圧から復活したあと、勢力を強め、小さいながら暴風域を持つ強い台風となりました。
そして、今後ですが、週末にかけて大変予想が難しくなっています。今後もやや発達しながら、23日~24日(木曜~金曜)にかけて日本の南に進んでくる予想で、その後は北~北東に進路を変え、25日~26日(土曜~日曜)にかけて本州付近に接近するような予想となっています。
関東の南を指向していた昨日の予想より大きく西回りとなり、しかも丸1日以上、本州付近への接近が遅くなりました。これは台風12号が太平洋高気圧の域内に入ってしまうため、なかなか進路が見いだせない状態となっているためです。一般に台風の進行方向が北西から北東に変わる点を転向点と呼んでいますが、この転向点がどこになるのかまだ不確実な状況です。
高気圧の強さによっては、転向して本州を指向する可能性もあるし、あるいはあまり転向しないまま東シナ海へ抜ける可能性も考えられます。また日本の南で高気圧に取り囲まれてしまうと、身動きが取れなくなり(停滞する)、迷走してしまう可能性も否定出来ません。
このため、5日後26日(日)の予報円の直径は1400キロにも及んでおり、東へ行けば関東接近や伊豆諸島、西へ行けば九州~東シナ海へ進む可能性もあるという、かなり大きな予報円となっています。
今回の台風はいつも以上に最新の予報をチェックしなければなりません。
台風12号の特徴は?
台風12号の特徴を先週日本列島を直撃した台風11号と比較してみましょう。
台風11号は大型の台風で、その直径は強風域が最大1140キロ、暴風域は最大340キロもありました。一方、台風12号はその半分程度の大きさで、現在、強風域が560キロ、暴風域は180キロ程度となっています。つまり、台風11号と比べると、一回り小さい比較的コンパクトな台風と言えますので、この台風が全国の広範囲に大荒れの天気をもたらすということはあまり考えられません。
一方、台風11号と似ている点もあります。それは速度が遅いと言うことです。台風11号と同様、台風12号も時速10キロから20キロ程度で進み、日本付近にきてもあまり速度を上げる要素は見当たりません。
このため、いくらコンパクトな台風であっても、仮に進路にあたる地方では丸1日~2日程度荒天が続く可能性もあると思われます。
一発大波に注意
現在、本州付近は晴れて猛暑となっている所もあり、絶好の海水浴日和が続く所もありそうですが、こんな時に要注意なのは一発大波という現象です。
これは台風から届くうねりの影響により、おだやかに晴れていても、海上の波だけは高くなり、時に想像を超えるような高波に見舞われることがあります。これから週末にかけての海水浴はこの一発大波に要注意です。
台風12号の珍しさ
台風12号は東経180度より東の西経域からやってきた台風(ハリケーンではなく、トロピカルストーム)で、1951年以降では29個目となります。
台風の発生数はこの台風12号までで合計1685個となりますので、西経域起源の台風が全台風に占める割合はわずか1.7%程度となります。
更に今回のように西経域起源で発生し、一度熱帯低気圧に衰えながら再び台風に復活したものは1972年台風28号に次いで2個目となります。台風合計1685個中の2個目ですから、今回の台風はある意味非常に珍しい行程を歩んできたことになります。
またこちらはもしもの話ですが、過去、西経域起源の台風で日本に上陸したものは1997年台風19号の1個だけです。ですから仮に台風12号が上陸するような事があれば、西経域起源で発生し、しかも復活を遂げ、更には上陸もするという、これは統計史上初めての事となるようです。
上記の執筆にはデジタル台風HPを参考にさせて頂きました。