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史上最低の貯水量で7月へ~利根川水系~

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

少雨から多雨へ

空梅雨傾向から一転して、6月後半は梅雨前線や台風の接近などにより、とても多くの雨が降りました。この10日間の雨量をみても、西日本では多くの所で200ミリを越え、紀伊半島や四国、九州南部では600ミリを超える赤い地点も出ています。

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大雨の顕著な例を挙げると、香川県高松では、6月前半まで平年の1割程度の降水量しかなかったのですが、6月後半の雨で合計332ミリに達し、6月の雨量としては1942年の観測開始以来1位を更新するほどの量となりました。

西日本ではこの大雨で水不足がかなり解消し、多くの所で取水制限が解除され、渇水対策支部も解散という所が多くなっています。

国土交通省 H25渇水状況(国管理河川)について 6月28日9時現在

利根川水系は横ばい

利根川水系のダムがある関東北部山沿いでも50ミリ~100ミリ程度の雨が降り、恵みの雨となりました。ただ、西日本のように一気に水不足を解消するような大雨とはなっておらず、利根川水系の貯水量はなんとか現状を維持している状態となっています。

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けさ(29日)9時現在の貯水量をみても、合計2億4395万立方メートルとなっており、どうやら史上最低の貯水量で7月を迎えることになりそうです。

今後の雨は?

今後の雨ですが、7月早々、日本の東海上にある高気圧が勢力を強めるため、特に関東地方では晴れて日に日に暑さが厳しくなっていく予想。気象庁から発表された東京の週間予報をみても、向こう一週間はすべて晴れのマークに変わってしまいました。

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ただ、来週の後半は日本海に新たに発生する梅雨前線がゆっくりと南下し、雨を降らせる可能性もあります。このため、週間予報の信頼度はCランクとなっています。また、南から暖気が入ってくるパターンのため、東京よりは関東北部の山沿いで雨雲が発生しやすくなることも考えられます。

しかし、まとまって降るかどうかはとても微妙な状況。あまり降らない場合は、6月前半までのように、再び、貯水量が急減していくことも考えられるため、今後、水の管理にはより一層の注意が必要と言えるでしょう。

(気象庁HPより抜粋、貯水量のグラフは東京都水道局より)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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