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【最速まとめ】2022年大学入試、コロナ感染者・濃厚接触者どうなる?#がんばれ受験生 #Goto入試

末冨芳日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員
2019年の大学入試センター試験(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

オミクロン株濃厚接触者が、大学入学共通テスト・各大学の個別入試を受験できないという方針は、世論の強い反対もあり、迅速に軌道修正されました。

12月28日、18時に文部科学省から、軌道修正のために以下の通知が発出されました。

令和4年度大学入学者選抜に係る新型コロナウイルス感染症に対応した試験実施のガイドラインの一部再改訂について(通知)

受験生、保護者、高校関係者や予備校関係者はほっとされた方も多いのではないでしょうか?

とにかく感染しないこと、濃厚接触者にならないことがベストです、しかし医療従事者や空港検疫関係者などのご家族がいれば当然ご心配も多いでしょう。

不幸なことに市中感染してしまう可能性もあります。

もし受験生が感染者・濃厚接触になってしまったらどうすればよいのでしょうか?

現時点で分かっている方針をまとめていきます。

1.新型コロナウイルス感染者・濃厚接触者はどうなる?当日の体調不良者は?

まず、ものすごく簡単にまとめておきます。

・新型コロナウイルスを感染(PCR検査等で陽性)してしまえば、無症状でも共通テスト受験・大学受験はできない(陰性になった後、追試験は受験できる)。

・濃厚接触者は一定の条件を満たせば、共通テストは受験できる(個別試験は大学によっては追試験になる場合もありうる)。

・新型コロナウイルスかどうかはわからないが、試験当日に疑いのある症状(発熱・咳等)があり、受験を取り止めた受験生は、共通テスト追試験が受けられる(個別試験は大学・学部によって対応が違うので、文科省作成リストから確認を)。

ここで読むのをやめないでください。

2.文部科学省通知、大学入試センターの情報、受験する大学の情報は必ず確認を

この記事を読んでいるみなさんにお願いがあります。

新型コロナウイルス・インフルエンザ等の感染症・濃厚者対策については、大学入試センターのホームぺージ、受験する個別大学のホームページを必ず確認してください。

※大学入試センター「令和4年度共通テスト新型コロナウイルス感染症対策等について

3.濃厚接触者が共通テスト・個別試験を受験できる条件は?

文部科学省では受験生が一定の条件を満たし、別室受験である場合には共通テスト・個別試験ともに受験を認めています。

これもものすごく簡単にまとめるとこのようになります。

とにかくPCR検査が陽性になれば受験できない。

・まずPCR検査等が陽性なら受験できない。

・保健所等の濃厚接触者認定がされており咳・発熱等の症状がある場合にも受験できない。

・ただし感染者・濃厚接触者であるかどうかは、受験生から大学入試の会場校や受験する大学に申し出なければ把握できない(性善説に立った対応、他の受験生や監督者を守るためにもどうか正直に連絡をお願い申し上げます、追試験・別室受験の対応はしていただけます)。

濃厚接触者になってもPCR検査が陰性かつ無症状であれば受験できる。

・PCR検査が陰性であれば受験可能(共通テストは受験できる、個別試験は必ず各大学のHP確認や直接問い合わせを)。

・PCR検査は保健所や保健所(自治体)から指示された医療機関で受ける必要がある。

・PCR検査結果待ちの場合にも、無症状なら受験可能。

・自治体の待機施設から許可を得て共通テスト個別試験のために外出することはできる(自治体担当者のみなさん対応お願いします)。

・ただし公共交通機関(航空機・鉄道・バス・タクシー等)は利用できない。

実際の文科省通知(pp.6-7)、大学入試センターQ&Aもご確認ください。

個別入試の場合には、心配なら各大学に直接お問い合わせされるのが一番です。

4.すぐに必要な対応は、Goto入試キャンペーンでは?

ここまでの対応をまとめると感染(PCR陽性)してしまえばアウトです。

また当日に咳・発熱等があった場合にはとにかく無理せず追試験を受験してください。あるいは別室受験を申し出てください。

万が一濃厚接触者になってもPCR陰性で、無症状なら受験できます。

しかし濃厚接触者受験のネックになるのが、公共交通機関の利用禁止ということです。

大学入試センターQ&Aでも自家用車か、レンタカーの利用が推奨されています。

しかし家族の事情によっては自家用車がなかったり、車を運転できる人が家族や知り合いにいなかったりする受験生もいるはずです。

もちろん高校・予備校等関係者が車を出す場合もありうるでしょう。

しかし、感染拡大の場合の対応が追いつかないかもしれません。

いま国として対応が必要なのは、受験生の移動手段を確保することではないでしょうか?

これは文科省の所管を越え、官邸の判断が必要になります。

感染状況次第でもありますが、感染拡大に備えておく必要もあるのではないでしょうか。

国土交通省からタクシー業界等に要請して、金額上限を設けた移動費助成をすることもできるかもしれません。

宿泊についても国をあげてホテル業界に協力要請も可能なのではないでしょうか?

Gotoトラベルの入試バージョン(Goto入試支援制度)、これが実現できると、自家用車等移動が難しい受験生が濃厚接触者になっても受験機会は確保されます。

もちろんGoto入試を実現するのであれば、タクシーやホテルでの感染症対策について厚労省等の協力も必要になるでしょう。

官邸の判断が間に合わない場合には、都道府県知事、市町村長が地域の事業者に協力要請をする必要もあるのではないでしょうか?

受験生はコロナ禍のつらい日々の中でも、大学受験にむけて頑張ってきました。

心ない対応で受験生にショックを与えた日本政府ですが、だからこそ、政府をあげて受験生を応援することもできるはずです。

最後に、受験生のみなさんへ

まずは健康管理に気を付けて、受験への準備をしてください。

そしてもし感染・発症しても、政府や多くの大学は追試験の機会を保障していることを忘れないで、落ち着いて対応してください。

濃厚接触者になっても無症状なら受験できます。

移動手段のことは私も政府に働きかけますが、学校や知り合いにサポートしてほしいと相談することも大切です。

私はこの冬も受験生のみなさんを応援しつづけます。

桜咲く春はあと少し!がんばれ受験生!

日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員

末冨 芳(すえとみ かおり)、専門は教育行政学、教育財政学。子どもの貧困対策は「すべての子ども・若者のウェルビーイング(幸せ)」がゴール、という理論的立場のもと、2014年より内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画。教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。多様な教育機会や教育のイノベーション、学校内居場所カフェも研究対象とする。主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店,編著)など。

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