■「ガクチカ」が話せない!

今年も既に夏のインターンから就職活動シーズンに突入しています。そんな中、さまざまな学生から「ガクチカ」、つまり「学生時代にチカラを入れたこと」を面接で話せないのでどうしたらよいのだろう、という悩みをよく聞きます。

クラブやサークル、ゼミやアルバイトで、2年生までは上級生のサポートをしていただけだったのに、いざ3年生になったらコロナで何もできない。イベントもすべて中止。留学を予定していた人も、せっかくいろいろ準備していたのに行けなかった。一体、何にチカラを入れたと話せばよいのかと途方に暮れています。

そんな悩みを抱えている方にぜひお伝えしたいと思って、これを書いています。まず知って欲しいのは、採用面接は学生時代の「成果」の自慢大会ではないということです。

■知りたいのは成果より「本人の性格や能力」

もちろん学生でも、社会人顔負けの成果を出している人がたくさんいます。しかし、多くの学生の成果は社会人から見れば五十歩百歩であり、それ自体を見て何かを評価するということはあまりあ5りません。

それよりも、何かの成果を出そうとして取り組んでいった行動の中から、「この人はどんな人なのだろうか」と、皆さんの性格や能力を推し量りたいだけなのです。面接での質問は、すべて「あなたはどんな人ですか?」の変形なのです。

しかも、企業が知りたいその「性格や能力」は、習慣といえるほど根付いたものでなければなりません。なぜなら、入社してから日常となる仕事の中で、日々発揮してもらわなければならないからです。

面接担当者は「ある場面でのある成果」を評価するのではなく、どんな時でも発揮できる「再現性のある性格や能力」を知りたいと思っているのです。

そうなると、実は一番知りたいのは、派手ではあるが単発的なイベント的エピソードなどではなく、日常的に学生さんがどのように考え、行動してきたのかということなのです。そこに珍しい面白ネタのようなものなどなくても全く構いません。

■日常の中で淡々とやってきたことを話して欲しい

仕事は「長距離走」だといいます。六本木ヒルズを建てるのに16年かかったと聞いたことがありますが、大きなことをしようとすれば長期間継続して行動することが必要です。どんなに派手な成果の仕事であっても、日常のプロセスは地味なものです。

そういうこともあり、さまざまな企業で高業績を上げている人を調べると、ふつうの人だと「つまらない」と思うようなルーチンワークや、義務でやらなくてはならない仕事などでも、自分で意味づけしたり、セルフモチベートしたりして楽しむことができる人が多いです。

そして、応募してきた学生さんにそういう特性があるのかどうか、面接担当者は知りたがるのです。

そう考えれば、今年はコロナで派手な成果を出せたエピソードがないと悩むことなど必要ないと思いませんか。どんな状況であっても、日常生活は続きます。その中で、淡々とやってきたことについて話せばよいのです。

私がお勧めするのは、「学生」なのですから、ふつうに勉強の話をしてみてはどうでしょう。どんな理由でどんな科目を選び、そこでどんな問題意識を持って何を調べたり実験したりして、結果がどう出て何を学んだのか。一緒にチームを組んだ人とは、どんな役割分担をしたのか。そんな話を通じて、面接担当者が皆さんの人となりを知ることは十分可能です。

■感度の高い採用担当者は学生が勉強しているのを知っている

日本では長い間「大学はレジャーランドだ」と言われたぐらい、大学での勉強を重視してきませんでした。面接を担当するようなベテランの人たちは、自分の大学時代を踏まえて「学生に勉強のことなど聞いても仕方ない」と思っています。

なので「ガクチカ」というと、自発的にやった「課外活動」ばかり聞くことになり、学生もESや面接でそういう話をしないといけないと思いがちです。しかし、本当はそんなことはないのです。

いまの学生さんは昔とは違い、授業に出て、学業にちゃんとチカラを入れているでしょう。感度の高い採用担当者も、今の学生がきちんと学業をしていることを知っています(このことは拙著「日本のGPAトップ大学生はなぜ就活で楽勝できるのか?」で解説いたしました)。

大企業を中心に、採用応募時に成績表を提出してもらい、面接で学業についても聞こうとする会社が徐々に増えています。学生の履修データを登録しておけば企業に簡単に送信できるサービスを、株式会社履修データセンターが展開しているので、そこを利用する企業も多いです。

このように企業側の意識も変わってきているので、自信を持って自己PRの中に自分の学習歴、履修履歴のPRを入れてみてはどうでしょうか。

キャリコネニュースにて人と組織についての連載をしています。こちらも是非ご覧ください。