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大きな差がついたリターンマッチ

林壮一ノンフィクションライター
Amanda Westcott/SHOWTIME

 最後の放送となったSHOWTIMEのボクシング中継。セミファイナルには、ずっと同局が売り出してきたクリス・コルバートを出場させた。デビュー以来16連勝(6KO)を飾り、WBAスーパーフェザー級の指名挑戦権を手にしたこともあった。

 が、14戦全勝10KOで同5位のヘクター・ルイス・ガルシアにワンサイドの判定負けを食らい、失速する。再起戦ではホセ・ヴァレンズエラに僅差の判定で勝利したものの、物議を醸した。そこで今回、9カ月ぶりのリマッチとなった。

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 今回は、WBAライト級タイトル挑戦者決定戦として再戦が決まったが、ホセ・ヴァレンズエラは、リベンジに並々ならぬ闘志を燃やしていた。2023年3月25日の敗戦は、3名のジャッジそれぞれが94-95の1ポイント差。

 本人としては、負けた気がしなかったに違いない。

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 オープニングベルと同時に、ヴァレンズエラはコルバート目掛けて突進し、激しい連打を見舞う。

 コルバートはその攻撃にたじろぎ、早くも腰を落とした。ダウンを奪ってからもヴァレンズエラは手を緩めず、打って打って打ちまくる。

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 2回、3回とコルバートも前進するが、ヴァレンズエラは的確にパンチをヒットし、ペースを譲らない。4ラウンドではストレートが冴え、5ラウンドではポジショニングが光った。コルバートはコーナーに詰まり、ショートパンチを浴びる。

 そして迎えた第6ラウンド、1分41秒。ヴァレンズエラの狙い澄ました右フックがコルバートの顎を打ち抜き、試合は終了した。

Amanda Westcott/SHOWTIME
Amanda Westcott/SHOWTIME

 13勝(9KO)2敗となった勝者は言った。

 「今日はゴングと同時に仕掛けた。クリスに感謝したい。彼は素晴らしいファイターだ。彼がいなかったら、試合は成立しなかった。クリスに脱帽だ。俺のベストを引き出してくれた。適応力を上げてくれた。

 12ラウンドを戦うべく、ただ我慢していた。墓穴を掘らないように、焦らずに戦ったよ。3度目の対戦は必要ないだろう。俺は彼に2度勝ったのだから」

 快勝したヴァレンズエラに、WBAライト級タイトル挑戦は具体化するか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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