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アルゼンチン人コーチが語る「天皇杯を制した川崎フロンターレ」

林壮一ノンフィクションライター
(写真:つのだよしお/アフロ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、オーストラリアでプレーするエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロが、柏レイソルをPK戦で下して天皇杯を制した川崎フロンターレについて語った。

撮影:筆者
撮影:筆者

 川崎フロンターレ、強いですね。鬼木達監督の手腕は見事です。7シーズン指揮を執って、7つもタイトルを獲ったんですから。ACLもグループステージを突破していますね。

 6万2837もの人が天皇杯の決勝に詰め掛けたのも、常勝軍団となったフロンターレの強さがみたい、と感じたファンが多かったからじゃないですか。

写真:長田洋平/アフロスポーツ

 元々、鬼木監督は細かくパスを繋いで、両サイドから抉るサッカーをしますね。見応え十分です。フロンターレは三笘薫を筆頭に、主力となる選手が次々と移籍してしまいましたから、今季のJリーグでは苦戦を強いられましたよね。

 波もありましたが、天皇杯で存在感を示し、チームの方向性が正しいことをファンに伝えたと僕は思います。

写真:森田直樹/アフロスポーツ

 左ハムストリング肉離れに苦しみましたが、FWのマルシーニョは非常にスピードがあり、将来性を感じさせます。ベテランとなった小林悠もチームを引っ張っていますね。

 更に欠かせないチームの顔がプロで20年も戦っている家長昭博です。

天皇杯決勝での家長昭博
天皇杯決勝での家長昭博写真:長田洋平/アフロスポーツ

 家長はボールを止めてから、彼だけがゆっくり周囲を見てパスを出しているかのようなプレーをします。スルーパス、ダイレクトパス、ボールを回す、どれをとってもサッカーIQの高さを印象付けます。本当にサッカーを知っている選手です。

 あの冷静さとパフォーマンスの高さは、アルゼンチンでも十分に通じますよ。もっともっとA代表で活躍すべきでした。

写真:長田洋平/アフロスポーツ

 喜びも束の間、フロンターレは早速12日にACLの6節で蔚山現代と対戦ですね。この勢いのまま、頑張ってほしいです。

 是非、見ていて楽しいフロンターレの戦いを、披露してください。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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