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アルゼンチン人コーチが語る「日本vs.カナダを見て」

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、アトレチコ・マルテ(エルサルバドル1部リーグ)所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 2019年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執る彼が、先日の日本代表vs.カナダ戦について語った。

撮影:筆者
撮影:筆者

 カナダ代表はスターティングメンバーのうち7人が黒人選手でしたね。やはり、日本人選手とは身体能力が違いました。速い、体強い、激しい。日本はやられちゃいましたね。

 酒井宏樹や谷口彰悟の当たりは強かったですが、他の選手はほとんどフィジカルで負けていましたね。1対1が弱い。特に目に付いたのが久保建英です。日本のメディアは彼をスターに作り上げたいようですが、何一つ効果的なプレーが出来ませんでしたね。ドリブルしても簡単にボールを奪われてしまう選手ですね。

写真:ロイター/アフロ

 柴崎岳から相馬勇紀へのパスは良かったし、ゴールも決まりました。が、その他はほとんどチャンスを作れませんでした。同じ事ばかり狙ってしまいましたね。得点が生まれる気配すらない。パスミス、トラップミスが多過ぎますよ。これではワールドカップは厳しいなと感じざるを得ません。

 ドイツ、スペインはカナダより強いでしょう。コスタリカとカナダは同じくらいのレベルだと僕は見ています。

写真:ロイター/アフロ

 鎌田大地のボランチは収穫と言っていいかもしれません。でも、本当にあのポジションで使われますかね?

 伊東純也、前田大然、三笘薫、遠藤航、守田英正が入ったらどうなるかは分かりませんが、一体、誰がストライカー的な役割を担うのでしょうか? 本当に誰がゴールを奪うんですかね? 南野拓実も調子を落としたままですし、鋭さが消えています。

 カナダ戦は森保一監督がレギュラーを温存する策を取ったのであれば、そういうメンバーでの戦いに過ぎなかったのでしょうが…。

写真:ロイター/アフロ

 DF陣もセットプレーが心許ないですね。FK、CKはまずもって、GKが出ないといけません。1失点目は、目を覆いたくなりました。

 何度も述べてきましたが、GKはシュミット・ダニエルの方が上だと僕は思いますよ。権田修一の守備には不安が残ります。

写真:ロイター/アフロ

 まずは初戦ですが、ドイツは粘り強いですよ。何度ワールドカップで優勝している国かを考えなければいけない。4回ですよ。私の祖国、アルゼンチンもドイツには肝心なところでやられた事が、何度もあります。

 僕は日本に住みサッカーの仕事で生活していますから、サムライブルーに頑張ってほしいのですが、不安ばかりが残るカナダ戦になってしまいましたね……。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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