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タイソン「耳噛み」戦グローブの値段

林壮一ノンフィクションライター
これだけの大試合で相手の耳を食いちぎれるか…(写真:ロイター/アフロ)

 1997年6月28日、挑戦者としてリングに上がったマイク・タイソンは、WBAヘビー級王者、イベンダー・ホリフィールドの耳を第3ラウンドに食いちぎって、失格負けを喰らった。

 前年の11月に同じカードで11回にKO負けし、王座から転落したタイソンは、何が何でもリターンマッチでベルトを奪い返したかった。だが、思うように試合を運べないこと、そしてホリフィールドのヘッドバットに狂犬化してしまった。

写真:ロイター/アフロ

 同ファイトでタイソンが使用したグローブが、今、オークションにかけられている。1000ドルからスタートし、9月3日の夜には12155ドルの値がついた。17日まで続くが、どんな結末となるだろうか。

写真:ロイター/アフロ

 タイソンvs.ホリフィールドは、1戦目も2戦目もラスベガス中がお祭り騒ぎだった。MGMでは試合の1ヵ月ほど前からグッズが売り出され、街中のいたるところで、模倣品のTシャツも出回っていた。

 現在、ラスベガスはカネロvs.GGG第3戦を直前に控えているが、あの頃ほどの熱さはない。

写真:ロイター/アフロ

 あまり報じられていないが、タイソンが耳噛みを起こした日、MGMのメインエントランスでは機関銃乱射事件が起こっている。会場を訪れた人たちは、なかなか帰路につけなかった。街全体に異様な空気が流れていたことを思い出す。

写真:ロイター/アフロ

 このグローブを落札する人の気持ちを訊いてみたいものだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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