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IBFウエルター級11位の19勝目

林壮一ノンフィクションライター
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 IBFウエルター級11位にランクされるアレックス・ロチャと、フィラデルフィア出身のブレア・コブスが、ゴールデンボーイ・プロモーションの興行でぶつかった。

 リングインした際の戦績はロチャが18勝(12KO)1敗、コブスは15勝(10KO)無敗1分け。サウスポー同士の対戦だった。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 立ち上がりのジャブの刺し合いは、ややコブスが優勢だった。フットワークを駆使し、アングルを変えて右を伸ばす。が、接近戦でのパワーはロチャが上のようだった。距離もコブスのものだった。

 第2ラウンド残り20秒に、ロチャの左ストレートがヒットする。コブスは苦笑いを浮かべたが、その後、重心がブレだした。翌3回、左ボディから右フックを喰らったコブスの体が大きく揺れる。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 ラウンドが進むにつれ、両者の差が明確になっていく。ロチャは重心が低く、一発一発が重い。その反面、コブスは腰が高く、パンチ力に欠けた。

 5ラウンド52秒、ロチャの左ショートがコブスの顔面を捉えると、フィラデルフィアンは深刻なダメージを負った。

 ロチャに比べてコブスはガードが低く、IBF11位はガラ空きの顎に再三ハードパンチを喰らわせた。

 第8ラウンド1分22秒、ロチャの右フックがクリーンヒットし、コブスがキャンバスに沈む。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 立ち上がり、粘りを見せたコブスだが、翌9ラウンドに連打を浴びる彼をレフェリーが救うかのように試合終了を告げた。公式TKOタイムは同回44秒。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 試合後、勝者は言った。

 「KOしたけれど、もっと上手く戦えたね。コブスはぎこちなく逃げ回っていたが、タフだった。ヤツの動きには自然に対応できた。もっと成長しなきゃね。単発のパンチで試合を決めたけれど、コンビネーションも打たなければ」

 ウエルター級は、4月16日にWBA/WBC/IBF3冠統一戦が催される。今回の勝利でトップ10入りを果たせそうなアレックス・ロチャ。彼も遠くない将来、タイトルに絡めそうだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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