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間も無くゴング! WBAライト級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクションライター
(C)Esther Lin/SHOWTIME 計量後、あわや乱闘に

 25戦全勝24KOの3階級制覇王者、ジャーボンテイ・デービスと、22勝(15KO)1敗1分けのメキシカン挑戦者、イサック・クルスとのWBAライト級タイトルマッチのゴングまで、あと半日となった。

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 前日計量をデービスは134.5パウンド、クルスは134.25パウンドでパス。お決まりのフェイスオフで58秒間睨み合った後、チャンピオンがカメラマンの写真撮影に応じるため、右回りに反転して両腕を掲げてポーズをとる。次の瞬間、クルスもデービスの真横で同じ格好をすると、WBA王者は「どけ! 主役は俺だ!!」とばかりに挑戦者を突き飛ばした。

(C)Esther Lin/SHOWTIME
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 さて、ここでは最終記者会見の模様をお伝えしたい。まずは、同ファイトを手掛け、デービスを売り出すプロモーター、元パウンド・フォー・パウンドKINGのフロイド・メイウェザー・ジュニア。彼は次のように話した。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 「この試合も2名の偉大なライバルによる、世界中のファンに向けたビッグマッチだね。デービスはこのところ大舞台に上がってきた。今回、デービスは挑戦者に大きなチャンスを与えた。

 クルスはタフなファイターだ。当初、私は(ローランド・ロメロの代役で決まった)クルスについて、ほとんど知識が無かった。でも、調べてみると非常にいいチャレンジャーだと把捉した。

 信じがたいスキルを持っているのでデービスが勝者となりそうだが、クルスにも似たようなクオリティーが見られるよ。5日が楽しみでならない。日曜日の試合って、ボクシングじゃ珍しいよね。でも、スーパーボウル(NFL)もNBAのオールスターゲームも日曜開催だ。誰もが家にいて、寛ぎながらTV観戦できる。そんな日に、素敵なカードを提供できて嬉しく感じる。

 私的な意見だが、今日130パウンドから140パウンドが、ボクシング界で最もハイレベルだと思う。この試合は2人のベストファイターが、ライト級でぶつかる最高のカードさ。

 エンターテイメントとして最高だね。前座も充実しているし、見逃さないでほしいな」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 王者、デービスは語った。

 「この試合を組んでくれた方々、ここにお集まりの皆さん、全てに感謝している。自分にとっては、新たなビッグマッチであり、日曜日に戦う初めてのファイトなので非常に楽しみだ。素晴らしいパフォーマンスをお見せするよ。

 背の低い選手との試合は、自分より上背のある敵との対戦よりも難しいんじゃないかな。パンチの当たる場所を探しながらの展開になるだろう。ただ、この場で作戦についてはコメントできないよ。どうなるかも、言えないな。ただ俺は、他の選手がするようなミスはしない。12回フルで戦えるように仕上げた。

 まぁ皆さん、期待していて下さいよ。クルスは今、好きなことを言っていればいいけれど、本番のリングでは予想通りには運ばないさ。ヤツは『デービスは自分のようなタイプと戦ったことが無い』って発言したけれど、あいつだって、俺レベルとの対戦は無いよ。

(C)Esther Lin/SHOWTIME
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 エキサイティングな試合になることは間違いない。我々は逃げずに打ち合うタイプだしね。潰し合いになるだろう。

 対戦相手の変更ってボクシング界では頻繁に起こるから、適応しなきゃいけない。クルス対策として、ゲームプランを何点か変えた。問題ないよ。素晴らしいトレーナーが付いていたら、試合中に絶妙なタイミングで的確な指示が出る。我がチームは、それがこれ以上ないレベルで出来るんだ。だから、俺はトップに君臨していられるんだよ。

 クルスにはベストコンディションでリングに上がってほしい。こちらはそれを見越して、十二分な準備をした。俺自身も、かつては今回のクルスのように負けを予想されたものだよ。食うか食われるかのファイト全てに勝って、現在のポジションにいるんだ」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 挑戦者、イサック・クルスも言った。

 「これまでに無い飢えと、モチベーションを感じています。幼い頃からの夢が叶いました。こういう大舞台をずっと目指して来ましたからね。

 キャンプでは耐え抜きました。見る人すべてに素晴らしい試合を贈りたいです。繰り返しになりますが、デービスは僕のような選手との対戦がありません。彼は非常に強い選手です。ライト級最強でしょう。でも、僕を倒せはしない。僕の陣営は、デービスの映像を徹底的に見て、彼の良さも、苦手な部分も学習しました。アッパーカットが強く、多彩な攻撃があります。しかし、デービスのスピードに怖さは無い。カウンターを合わせますよ。こちらは、デービスを倒すように練習してきました。

(C)Esther Lin/SHOWTIME
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 僕は、繰り出す全てのパンチに自信を持っていますし、メキシカンらしく、『なるようになる!』という精神で戦います。マニー・パッキャオのように、ひたすら自分を信じてここまでやってきました。祖国、メキシコのためにも勝ちます」

 デービス有利は動かないが、クルスも闘志を見せそうだ。間もなくゴング。どんなファイトになるだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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