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アルゼンチン人コーチが語る「日本代表は、本当にこのまま進むのですか?」

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、チェンマイ・ユナイテッド(タイ1部リーグ)所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 2019年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執る彼が、オマーン戦について語った。

撮影:著者
撮影:著者

 11日のベトナム戦は酷い内容でしたね。勝ち点0のチームに対し、1点しかとれなかった。僕は日本サッカーが強くなることを心から祈って、この国で仕事をしています。ガッカリしましたし、情けなく感じました。

 

 森保一監督が何をやりたいのか、どんなサッカーをしようと考えているのかが見えないまま、アジア最終予選が進んできてしまった。

写真:ロイター/アフロ

 ベトナムも中国もオマーンも進歩しています。でも、日本代表は成長するどころか後退している。ロシアワールドカップでベスト16に入って、満足してしまったのでしょうか。

 更に上を目指すなら、アジアで圧倒的な存在になる必要があるのに、とても、そんなレベルじゃない。

写真:ロイター/アフロ

 こんな流れで、監督がクビにならない方がどうかしています。僕の国ではあり得ませんよ。ダラダラと続投させるのではなく、悪いムードを断ち切らなければ。

 アルゼンチンなら代表戦で不甲斐ない試合が続けば、即、監督交代となります。そういう甘さが日本サッカー界の弱体化を招いていますね。

 森保監督は、スタメンを固定していますが、世代交代は絶対に必要です。鬼木達監督はそれを理解しているじゃないですか。再三指摘していますが、どうして代表監督が、国内で無敵の川崎フロンターレのサッカーから学ぼうとしないのかが不思議です。

 鬼木サッカーはACLでは勝てないにしても、内容のある負け方をしています。そこが今の代表チームとの差なんです。鬼木さんに代表の監督を任せたらいいじゃないですか。

写真:ロイター/アフロ

 それから、今の代表にはFKを蹴る選手がいない。かつてのサムライブルーには、中村俊輔や本田圭佑という「俺に任せておけ!」という情熱を持ったキッカーがいましたよね。そういうハートが見られないのは、何とも淋しいです……。

 オマーンにはホームで負けています。<戦うんだ>というハートを見せてほしい。手遅れにならないことを、祈るばかりです。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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