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間も無くゴング! WBAウエルター級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 WBAウエルター級レギュラー王者のジャマル・ジェームス(33)が、無敗のロシア人挑戦者、ラジャブ・ブタエフ(27)を迎え撃つタイトルマッチのゴングまで、残すところ半日となった。

チャンピオンは145.2 lbs   Photo Esther Lin/SHOWTIME:
チャンピオンは145.2 lbs   Photo Esther Lin/SHOWTIME:

 前日に行われた計量では、ジェームスが145.2パウンド、ブタエフが146.2パウンドでパス。

挑戦者は146.2 lbs   Photo Esther Lin/SHOWTIME:
挑戦者は146.2 lbs   Photo Esther Lin/SHOWTIME:

 WBAウエルター級タイトルといえば、8月21日にマニー・パッキャオを引退に追い込んだヨルデニス・ウガスがスーパー王者に就いているが、身長188センチという長身が目を引くレギュラー王者、ジェームスの行方も気になるところだ。

 極寒の地、ミネソタ州ミネアポリスで生まれ育ったジェームスの戦績は、27勝(12KO)1敗。唯一の黒星が、10回戦時代の2016年8月12日にウガスに判定負けしたものである。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 試合2日前に行われた最終記者会見で、ジェームスは言った。

 「我々はトップレベルにある。互いにベストを尽くそうじゃないか。このステージまで到達した選手のパンチは、どれも破壊力満点。容易いファイトなんて無いよ。どんな相手と戦っても消耗し、ダメージを負う。俺自身も傷を負ったし、対戦相手を痛めつけた。今更、真新しいことは無い。そういう世界だ。

 今回のファイトはラスベガスで催され、SHOWTIMEが放送するから、多くの人が、俺がいかなる選手かを理解することになる。他のウエルター級のトップファイターとも拳を交えたいし、この階級でのビッグマッチを希望する。新たなスターが現れる時だと感じるし、才能のある選手が何人かいるよ」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 「俺はブタエフを軽視しちゃいないが、ウガスと再戦したい。彼は偉大な選手だ。言い訳はしたくないが、ウガスとの試合前、十分なキャンプを張れなかった。だからあの日の彼は、俺よりもベターだった。もし、俺がベストな状態を作れていたら、違った結果になっていたように思う。ウガスと統一戦をやって、WBAのベルトを1本にしようぜ。

 まぁ次は、今回、俺の前座に出場するジャロン・エニスとやる気持ちもあるんだがね。

 1年3カ月ぶりにリングに上がれることは、素直に嬉しい。コーナーからの指示をちゃんと聞くよ。俺は彼らをずっと信頼してきた。『攻めろ!』とか『足を使え』とかいう声が聞こえたら、その通りにするさ。

 ミネアポリスに幸福を届けるためにも、勝利してみせる。それが俺のモチベーションの一つとなっているんだ」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 13戦全勝10KOのチャレンジャー、ブタエフも話した。

 「私にはアマチュアでもプロでも豊富な経験があります。アマチュアで長くやりましたが、当時からプロに適応できるスタイルでやっていた自負があります。

 自分自身の事も、自分のキャリアをも信じ切れます。今回も計画通りの、素晴らしいキャンプをこなしました。ウエルター級の次のチャンピオンが私であることを証明してみせますよ。

 この試合では、違った私をご覧頂けるでしょう。どんな選手も、一人一人の相手に対し異なった利点があります。最も大事なアドバンテージは勝利できるということです。私こそがウエルター級で最高の選手だと確信しております」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 「私たちはファンが満足する戦いをするでしょう。私はメキシカンスタイルも身に付けました。メキシカンが好む激しい打ち合いになるんじゃないかな。そのつもりでリングに上がります。

 リングでは何が起こるか分かりません。だからこそ、どんな局面にも対応しなければならないのです。その準備をしてきました」

 さて、どんなファイトとなるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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