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ダウンを喫しても動じなかった18戦全勝16KOのスーパーミドル級

林壮一ノンフィクションライター
(C)Frank Micelotta / FOX Sports

 17戦全勝16KOの新星、スーパーミドル級のエドガー・ベロンガ(プエルトリコ)と、30勝(16KO)2敗1分けのマルセ・エステバン・コセレス(アルゼンチン)の10回戦は見応えがあった。

(C)Frank Micelotta / FOX Sports
(C)Frank Micelotta / FOX Sports

 KOを狙って一発、一発、思い切りパンチを振るっていくベロンガが前半はペースを握る。だが、4ラウンドからコセレスのビッグショットもプエルトリカンを捉える様になる。

 手数、クリーンヒットの数で劣勢に立たされ、右目が塞がったコセレスだが、第9ラウンドにカウンターのオーバーハンドライトで起死回生のダウンを奪う。ベロンガの左フックに合わせた、狙い澄ましたショットだった。

 同ラウンドの残り時間は10秒。

 コセレスは左右のフックでフィニッシュを試みるが、ベロンガはゴングに救われる。

(C)Frank Micelotta / FOX Sports
(C)Frank Micelotta / FOX Sports

 1分間のインターバルでベロンガは回復し、再び前に出る。

 結局、3人のジャッジ全員が96-93と採点してプエルトリカンが勝者となった。

 視界を奪われ、ポイントでリードされながらも、カウンターを狙って相手を沈めたアルゼンチン人も、終始下がらずに己のボクシングを貫いたベロンガも、心技体と鍛え抜いた姿を見せた。

(C)Frank Micelotta / FOX Sports
(C)Frank Micelotta / FOX Sports

 ダウンにも動じず、試合終了のゴングまで攻め続けたベロンガは、このファイトから大きなものを学んだに違いない。

 全力でファイトした敗者も称えられるべきパフォーマンスを見せた。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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