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アルゼンチン人コーチが語る「サウジアラビア戦の日本代表」

林壮一ノンフィクションライター
中国戦のスターティングイレブン(写真:ロイター/アフロ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、チェンマイ・ユナイテッド(タイ1部リーグ)所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 2019年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執る彼が、26時間後にキックオフを迎える日本代表vs.サウジアラビア戦について語った。

撮影:著者
撮影:著者

 「今回の代表選手の顔ぶれを見て、正直、ガッカリしました。森保一監督は、Jリーグにおける川崎フロンターレの躍進を無視していますね。あれだけいいサッカーをしているフロンターレから、何故、選手を選ばないのか? どうして彼らを認めないのか? 理解に苦しみます。

 フロンターレはピッチを大きく使い、中央からもサイドからも崩せます。フロンターレの選手が何名か入ることで、攻撃にバリエーションが生まれ、大迫勇也が生きると僕は思うんです。

 遠藤航がキーマンなのは分かります。現役時代の森保監督と同じポジションですし、彼無しで今の代表チームは機能しません。ただ、彼と前後の選手の連係、ボランチで組む選手は誰がベストなのか…。年齢は考慮せずに、山口蛍、家長昭博、小林悠、酒井高徳、前田大然らを呼べばいいのに、と心底感じますよ」

写真:森田直樹/アフロスポーツ

 26時間後に始まるサウジアラビア戦、そして12日に行われるオーストラリア戦でセレクトされた25名は次の通りだ。

GK、川島永嗣(ストラスブール/フランス)、権田修一(清水エスパルス)、谷晃生(湘南ベルマーレ)

DF、板倉滉(シャルケ/ドイツ)、植田直通(ニーム/フランス)、酒井宏樹(浦和レッズ)、長友佑都(FC東京)、中山雄太(ズウォレ/オランダ)、冨安健洋(アーセナル/イングランド)、橋岡大樹(シント・トロイデン/ベルギー)、室屋成(ハノーファー/ドイツ)、吉田麻也(サンプドリア/イタリア)

MF、浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)、伊東純也(ヘンク/ベルギー)、遠藤航(シュトゥットガルト/ドイツ)、鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)、柴崎岳(レガネス/スペイン)、田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)、堂安律(PSV/オランダ)、原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)、南野拓実(リヴァプール/イングランド)、三好康児(アントワープ/ベルギー)、守田英正(サンタ・クララ/ポルトガル)

FW、オナイウ阿道(トゥールーズ/フランス)、大迫勇也(ヴィッセル神戸)

写真:森田直樹/アフロスポーツ

 「それと、9月以降はGKのシュミット・ダニエル選手が外れて、谷晃生選手が選ばれています。東京五輪代表の若い谷選手を育てようという意図が見えますが、ワールドカップ予選はテストマッチではありません。勝負の場です。ダニエル選手の能力の高さは確かなものですから、このチョイスも不思議で仕方ありません」

写真:森田直樹/アフロスポーツ

 「常々感じることですが、僕が一番気になっているのは、<どういうサッカーをやりたいのか?>が、現在の代表チームから見えてこない点です。蹴るのか、繋ぐのか、サイド攻撃を用いるのか、あるいは、しっかり守ってカウンターを狙うのか。フロンターレにあって、A代表に無いのはそこなんですね。

 明日のサウジアラビア戦も厳しい戦いになるでしょう。アウェイで暑いでしょうし、相手は速いです。日本人より体格で優っているわけではありませんが、身体能力は高いですよ。”絶対に勝つんだ”という気魄を見せてほしいです。

 日本代表は大迫、原口が得点に絡むような気がします。冷静に予想すると1-1かな…というのが本音ですが、引き分けで帰ってくるのではなく、勝ち切ってほしい。心から日本の勝利を祈っています」

 さて、どんなゲームになるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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