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47歳vs.41歳、メキシカン・レジェンドが対決?

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 WBOスーパーバンタム級、WBCフェザー級、WBC/IBFスーパーフェザー級と、3階級を制したメキシコの伝説的王者、マルコ・アントニオ・バレラ(47)も来る11月20日にリングに上がることが発表された。

 感謝祭5日前のイベントとして、ニューメキシコ州メスカレーロのリングに上がる。

 67勝(44KO)7敗の戦績を残し、2017年に国際ボクシング殿堂入りを果たしたバレラは、エリック・モラレス、ナシーム・ハメド、ファン・マヌエル・マルケス、マニー・パッキャオらと数々の好ファイトを演じた。

 コーナーには田中繊大(帝拳)トレーナーの姿もあったので、ご記憶の日本人ファンも多いだろう。

写真:ロイター/アフロ

 今回の対戦相手は同胞であり、シドニー五輪出場後プロに転向し、同じくWBOスーパーバンタム級、WBCフェザー級と2階級を制したダニエル・ポンセ・デ・レオン(41)。

 デ・レオンのプロ戦績は、45勝(35KO)7敗である。

シドニー五輪時のダニエル・ポンセ・デ・レオン(右)
シドニー五輪時のダニエル・ポンセ・デ・レオン(右)写真:ロイター/アフロ

 11日のイベンダー・ホリフィールドとは違って公式戦ではなく、あくまでもチャリティー・マッチだが、バレラは既にトレーニングに入ったようだ。

 去年11月28日に行われたマイク・タイソンとロイ・ジョーンズ・ジュニアのエキシビション以降、かつての名王者が次々とリングに上がっている。PPVがそこそこ売れるため、ビジネスとしての旨味があるのだ。先日のホリフィールドも1分48秒でKO負けを喰らったものの、一夜にして500万ドルを稼げれば、その気になるのが人間だ。

 バレラは違うようだが、カネに釣られ「俺もやりたい!」と言い出す元王者が多い。

ホームズはスミスを8回で下した
ホームズはスミスを8回で下した写真:ロイター/アフロ

 1999年6月18日、ノースキャロライナ州フィヤットビルで、元世界ヘビー級チャンピオン同士の対戦、ラリー・ホームズ(49)vs.ジェイムス・"ボーンクラッシャー"・スミス(46)が組まれた。前座にも、それぞれロートルとなった4名の元世界王者が出場した。

 3試合とも、負傷した選手がTKO負けを告げられてリングを降りて行った。ゴルフやテニスのような<シニアツアー>は、ボクシングにおいては成立しない。

 PPVやチケットが売れる以上、興行師たちは今後もこの手のイベントを組むに違いない。が、あくまでもチャリティーイベント内のエキシビションとして、元ファイターがケガをしないよう、十分な配慮をして行うべきだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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