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粘り強さで27連勝(12KO)を飾ったフェザー級ファイター

林壮一ノンフィクションライター
Photo: Scott Kirkland/FOX Sports

 マニー・パッキャオvs.ヨルデニス・ウガス戦の前座に組まれたカルロス・カストロ(27)とオスカー・エスカンドン(37)のファイトは見応えがあった。

Photo: Scott Kirkland/FOX Sports
Photo: Scott Kirkland/FOX Sports

 先手を取ったのはコロンビア代表としてアテネ五輪に出場し、WBAスーパーバンタム級とWBCフェザー級で暫定王者となっているエスカンドン。

 156センチの短躯ながら、テンポのいい出入りを見せる。ファーストラウンド終了間際には左フックをクリーンヒットし、26戦全勝11KOのカストロの腰を落とした。

 身長で14センチ、リーチで10センチの差を物ともせず、果敢に攻めるエスカンドンに対し、体格差を生かし切れないカストロが、初黒星を喫するのか……。私の眼にはそのように映っていた。

Photo: Scott Kirkland/FOX Sports 2度暫定王者となっているエスカンドン
Photo: Scott Kirkland/FOX Sports 2度暫定王者となっているエスカンドン

 だが、6ラウンドにカストロが右ストレートをぶち込んで形勢逆転。翌7回にはラッシュをかけて、流れを引き寄せる。

Photo: Scott Kirkland/FOX Sports
Photo: Scott Kirkland/FOX Sports

 最終の10ラウンド、カストロの右ストレートが再び元暫定王者を捉え、その後の連打でエスカンドンがダウン。

 続行をアピールして起き上がったが、次の瞬間にエスカンドンはロープに凭れるように膝を折る。その光景を見たレフェリーが試合を止めた。

Photo: Scott Kirkland/FOX Sports
Photo: Scott Kirkland/FOX Sports

 正式なノックアウトタイムは同ラウンド1分8秒。あるいはこの試合も、年齢差が明暗を分けたか。エスカンドンの戦績は、26勝(18KO)6敗となった。

 PPV放送第1試合として行われたこの試合は、まだアリーナに空席が目立っているなかでの熱戦だった。その戦いは、アメリカに進出したばかりのマニー・パッキャオが、前座ファイターながら図抜けた闘志を見せていた頃を思い出させた。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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