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三者三様のドロー

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Esther Lin/SHOWTIME ボチャチア(右)

 15勝13KO1敗のシナード・ブンチと17戦全勝11KOのジェネルソン・フィゲロア・ボチャチアとの10回戦は、ジャッジ一人が97-93でブンチ、別の一人が96-94でボカチカを支持。残る一人が95-95と三者三様のドロー決着となった。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME ブンチのジャブにショートフックを合わせるボチャチア
Photo:Esther Lin/SHOWTIME ブンチのジャブにショートフックを合わせるボチャチア

 ニュージャージー州トレントン在住のブンチと、デトロイト出身のボチャチアは至近距離で打ち合った。ブンチは399発、ボチャチアも390発のパンチを放った。ブンチはそのうち30.8%のパワーパンチを見舞い、217のジャブのうち68発を捉えた。

 試合後、ブンチは言った。

 「俺が勝ったことは間違いない。絶対に勝ったと思う。ヤツよりこちらの方がパワーショットをヒットさせたし、ディフェンスも見せた。KOすれば良かったんだろうな……。終始、ヤツを痛めていたのは俺だ。ジャッジは一体、何を見ていたんだろうな」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME  ブンチの右ストレート 
Photo:Esther Lin/SHOWTIME  ブンチの右ストレート 

 一方のボチャチアも自身の勝利を主張した。

 「相手は自分にダメージを全く与えていませんね。僕は常にプレッシャーをかけていましたし、ジャブも彼より出したでしょう。KOしたかったので、右を狙っていたのですが。採点には納得できません。ただ、こういった理不尽さを学んだのかな」

 両者は共に22歳。まだ先がある。この結果から何を掴み、糧とするか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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