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元WBA/IBFスーパーバンタム王者ダニエル・ローマンの勝利

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 現地時間5月15日、元WBA/IBFスーパーバンタム王者のダニエル・ローマン(31)が、カルド・エスピノサ(23)を判定で下した。WBA/WBC統スーパーバンタム級タイトルマッチ、ブランドン・フィゲロアvs.ルイス・ネリ戦のセミファイナル10回戦においてである。

 若さを武器にしたエスピノサは、序盤から激しいプレッシャーを掛け、前進する。両者共に、スピーディなコンビネーションを見せ、互角の打ち合いが続いた。

 Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 差がつき始めたのは第7ラウンド。元チャンピオンのダブルの左アッパーがエスピノサを捉え、23歳の顔面が鼻血で染まる。

 チャンスと見たローマンは、徹底してエスピノサの鼻を狙った。速いコンビネーションで、エスピノサを追い詰めていく。9ラウンド開始前には、エスピノサのダメージを考慮し、ドクターチェックが入った。

 結局、豊富なキャリアを誇る元王者が、上り坂の若手を料理する形となり、98-92、98-92、97-92のスコアで快勝した。

 これでローマンの戦績は29勝(10KO)3敗1分け、エスピノサは25勝(21KO)4敗となった。

 Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 試合後、勝者は語った。

 「自分の距離で戦うことで、リングをコントロールした。彼はタフで闘志があるね。パンチ力もある。だから僕は、賢く戦ったよ。この勝利は、世界タイトルに返り咲くステップとなるだろう」

 そしてローマンは、この日に行われたメインイベントの勝者との対戦を希望した。

 2020年1月、ローマンは1-2の判定負けでWBA/IBFスーパーバンタム王座から転落した。その後、9月にファン・カルロス・パヤノを判定で下して再起。今回、復帰2戦目にも勝利し、世界戦線に踏み止まった。

 WBA/WBCの2冠チャンプとなったフィゲロアは、9月11日にWBO王者ステファン・フルトン戦が控えている。

 SHOWTIMEがメインイベント、セミファイナルにスーパーバンタム級のファイトを組んだことを鑑みても、ローマンが統一王者に絡む可能性はあると見る。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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