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4月10日にSHOWTIMEのメインイベントで対峙する2人のウエルター級

林壮一ノンフィクションライター
Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME

 SHOWTIMEが売り出す26戦全勝24KOの新鋭ウエルター級、ジャロン・エニス(23)と元IBFスーパーライト級王者であるセルゲイ・リピネッツ(32)が4月10日の対戦を前に、ZOOM会見に出席した。

 ペンシルバニア州フィラデルフィア出身のエニスは言った。

 「トレーニングキャンプは非常にいい感じで進んでいる。このクラスで光り輝いてみせるよ。俺の時間がやって来る。次のレベルに行くための試合になる。俺の技術と能力を披露し、KOで試合を終わらせてやるさ。

 セルゲイ・リピネッツは前に出てくるだろう。それがヤツのスタイルだよな。俺にとっては料理しやすいし、潰せるってことさ。リピネッツがどんな形で来ても、対応できるよ。これまで、誰かを踏み台だと考えたことは無かった。でも、この試合は次へ行くためのものだ。だからこそ、これまでにない程、自分を追い込んでいる。

 元世界王者であるリピネッツを倒すことが、俺の次に繋がる。世界チャンピオンだったってことは、スーパーライト級のトップ選手たちと戦って来たってことだ」

ZOOM会見より
ZOOM会見より

 「いつも、試合前はステップアップだと感じて来たけれど、より歯応えのある相手を求めていたのも事実。長いこと、こういうデカい試合を待っていた。やっと自分の力を示す日が来たんだな。俺はより強く、良く、賢く成長している。複数の階級を制し、レジェンドと呼ばれる王者になりたいんだ。そんな目的に対して、飢えた状態にある。

  SHOWTIMEが放送する番組でメインを張れるのは光栄だ。待ち遠しいよ。人はそれぞれ自分自身の道を歩むが、俺の場合は多少、目的地までに時間を要している。まぁいいさ。まだ成長過程で、ボクシングを学んでいるところだからさ。今回の試合は、最高のタイミングで訪れたチャンスだ。必ずモノにするよ」

ZOOM会見より
ZOOM会見より

 一方のセルゲイ・リピネッツも、通訳を交えて話した。

 「私はハードワーカーであり、何も恐れていない。今回も不安なくリングに上がる。エニスは私を<踏み台>と捉えているようだが、物凄く高い台だぜ。彼をこの手で地獄に送ってやるよ。

 私のキャリアが物語るように、誰もが簡単に辿り着ける訳ではない世界王座を13戦目で手にしたんだ。私は試合、そして挑戦が好きだ。今回もベストを尽くすし、現時点でトップ選手であるエニスは相手にとって不足なしだ。この試合の勝利は私を現在の位置から、さらに上に押し上げてくれるだろう。

 私はすべてのファイトから学習している。自分が犯したミスを繰り返さない術も身に付けている。前回の引き分けからも学び、既に改善したつもりだ」

2017年11月4日、IBFスーパーライト級王座決定戦で近藤明広を下したリピネッツ 写真:AP/アフロ
2017年11月4日、IBFスーパーライト級王座決定戦で近藤明広を下したリピネッツ 写真:AP/アフロ

 「フルに12ラウンドを戦い抜くことを前提にトレーニングを重ねている。本当に苦しいメニューだ。様々なタイプのパートナーを呼び、スパーをしているよ。エニスに対し、いかなる角度からでも、パンチを出せる。

 私は世界タイトルを狙っている。勝てば、それが近づくだろう」

 リピネッツはロシア人でありながら、「侍」というニックネームを持っている。近藤戦で付いたものではなく、暮らしていたロシアの街にアジア人コミュニティーがあり、その戦いぶりを目にした人が呼び始めたそうだ。

 リングでサムライぶりを発揮するのは、どちらのファイターだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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