Yahoo!ニュース

2021年ダンクコンテスト優勝者

林壮一ノンフィクションライター
1999年6月8日生まれの21歳(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 2021年のダンクコンテストは、オールスターゲームのハーフタイムに行われた。Vを飾ったのは、ポートランド・トレイルブレイザーズのシューティングガード、アンファニー・シモンズである。

 21歳の彼は、今日のNBA選手には珍しく、大学や他国のプロリーグを経験せずに高校卒業後NBA入りした。2018年のドラフト1巡目24位だ。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今シーズンは、デイミアン・リラードのバックアップとしてプレーする機会も多い。気が強く、とにかく自分が決めるんだ! とシュートを打ち続ける。

 このところシモンズは、大事な場面で3ポイントを決めている。彼にとってのルーキーイヤーは20試合に出場して3ポイントの成功率は34.5%、70試合に出場した昨シーズンは33.2%。そして今季は現時点で32試合のプレーで、41.1%と成長中だ。

 ブレイザーズのテリー・ストッツ監督も、シモンズの3ポイントには信頼を寄せる。

自身のアイドルだったトレイシー・マグレディのユニフォームで、同じダンクを見せた
自身のアイドルだったトレイシー・マグレディのユニフォームで、同じダンクを見せた写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 しかしシモンズのダンクシュートは、印象に残っていないのが正直なところだった。身長191センチのシモンズよりも、206センチのニューヨーク・ニックスのルーキー、オビ・トッピンの方が華麗なダンクを見せそうだった。

リングにキスを試みた決勝の3本目
リングにキスを試みた決勝の3本目写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 シモンズは、

 ①ミニフープとボールをリングの2フィート(60.96 センチ)ほど上に備え、ジャンプして両手で叩き込むタイプ

 ②若き日のシモンズが憧れた、トレイシー・マグレディが見せた360度体を回転させてのダンク

 ③バウンドさせたボールを片手でダンクする際、リングにキスをする

と、3パターンのダンクを披露。

 それぞれのシュートを5名の元ダンクコンテスト王者が採点する形で勝敗が決まった。決勝ではトッピンとの一騎打ちとなったが、シモンズが評価された。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 トロフィーを抱えたシモンズは言った。

 「一つ夢が叶いました。この場に立つことが出来、そして勝てた。現実なんですね。リングへのキスは練習しましたが、実際にうまくいったことはありません。今回、マウスピースをして臨もうとしたのですが、僕の口に合わなかった。顔を近付けましたので、目にした方々は僕がキスを試みたと感じているでしょう。

 誰もやったことのない、創造性のある僕だけの挑戦でジャッジにアピールしました」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 NBA選手となって3年目のシモンズは、現在、ブレイザーズにおいてセカンドユニットの一員として創造性のあるプレーを見せている。21歳の彼にとっては、何もかもが血となり肉となる経験だ。

 目下、今シーズンのシモンズが最も存在感を発揮したゲームは、1月25日のオクラホマシティー・サンダー戦だ。10本の3ポイントを放って6本を成功させ、26得点した。

1月25日のサンダー戦
1月25日のサンダー戦写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今回のダンクコンテストでアンファニー・シモンズの名を覚えた人もいるだろう。オールスターブレイク明けの初戦は現地時間の11日、対戦相手はフィニックス・サンズだ。自信を得たシモンズは、次に何を見せるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事