1ラウンドでノーコンテストとなったIBOウエルター級タイトルマッチ
ペンシルバニア州フィラデルフィア出身のサウスポー、ジャローン・エニス(23)。アマチュア時代の戦績は、2015年ナショナルゴールデングローブ王者を含め、23勝3敗。
2016年4月30日にプロデビューし、26戦全勝24KOと順調に白星を重ねて来た。IBOというマイナータイトルながら、自身初となるベルトを得て、一気に上を目指す未来図を描いていた。
エニスは、試合開始のゴングから、積極的に手を出す。南アフリカ出身の対戦相手、クリス・ヴァン・ハーデンも28勝(12KO)2敗1分けと侮れない選手だったが、エニスの勢いは止められそうもなかった。
小気味良いフットワークを活かしたジャブと連打で、エニスがペースを握っていたように見えたファーストラウンド2分39秒、両者は激しく頭をぶつけ合い、試合が中断する。
ハーデンの額からは鮮血が流れ落ち、ダメージを考慮したドクターが続行不可能と
判断。同ファイトはノーコンテストとなった。
エニスは57発の手数を出し、22打をヒット。そのうちの19発が強打であった。KOを狙ってエンジンが掛かり始めていた矢先のアクシデントだけに、失望は大きかったようだ。
試合後、エニスは言った。
「頭が当たる前から、ヤツはダメージを負っていた。リングを支配していたのが誰であるかは、見ての通りさ。簡単な相手だった。
俺はもっともっと成長する。直ぐにでもジムに戻って、トレーニングするよ。誰とでも戦う。ビッグネームとのファイトを希望する」
強気のエニスが、フィラデルフィア出身である点に興味を覚える。フィラデルフィアは、ジョー・フレジャーが過ごし、ティム・ウィザスプーン、メルドリック・テーラー、バーナード・ホプキンスらの世界チャンプが誕生した地である。
そんな場所でボクシンググローブを握ったエニスが、どのようなキャリアを積んでいくか。フィリーに新たな歴史を刻めるかが嘱目される。